大正時代のアンソニー型カメラ① | 四畳半カメラ大系

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大正時代のアンソニー型カメラ

-埼玉県の廃業した写真館-

 

1.はじめに

 

数年ほど前、すご~くアンソニー型カメラが欲しくなった。素人なのに。

 

 皆さんは「アンソニー型カメラ」をご存じだろうか。昔の写真館でよく使われたあの巨大な木製カメラだ。

 

口で言っても伝わりにくいと思うのでこちらの画像をご覧頂きたい。

 

画像元:仮面ライダーディケイド 第1話

(光写真館でのワンシーン①)

 

 右の背丈ほどある大きなカメラこそ昔の写真館で利用されたスタジオカメラの一種である。これが一般的に「アンソニー型カメラ」と呼ばれる代物だ。映像作品を広く見てる人は一度は見かけたことがあるアイテムだろう。

 

 まず、アンソニー型カメラとは何か?Google大先生で検索してみると、東京文化財研究所のアーカイブデータでこんな記事が出てきた。

 

以下抜粋「20世紀初頭に輸入されたアメリカのアンソニー社のカメラを原型に製作されたスタジオ用カメラです。」

 

 20世紀初頭が具体的にどの年代を指しているか分からないが、とりあえず1901年~1915年の辺りと仮定しよう。判断の根拠としては第一次世界大戦が1914年、日本の明治時代の終わりが1912年なので歴史の節目としてその辺りが具合がいいかもしれない。

 
 アンソニー(Anthony)社はかつてアメリカ合衆国に存在した写真機/フィルムの製造販売を手掛けたアンスコ(Ansco)社の前身にあたる会社である。アンスコと言えば、アンスコオートマチック(Ansco Automatic)アンスコフレックス(Ansco Flex)などの二眼レフカメラ(後者はボックスカメラ)が有名だ。
 
 アンソニーからアンスコに名称が変わったのは1907年(明治40年)らしいのでそれ以前にアンソニー社のカメラが入ってきたのだろう。同社は1870年(明治3年)に木製高級カメラの製造を始めており、スタジオカメラに限らず種々あるカメラを出している。
 
 何年から経てこれらの製品がプロ用の木製カメラとして有名になっていたのだろう。そして20世紀に高名なアンソニー社のカメラを参考にスタジオカメラが日本で作られ始め、それらがアンソニー型のカメラ、つまり総称としてアンソニー型カメラと呼ばれ始めたのではないかなと推測した。
 
2.買ってから考える
 
 しばらく調べてみてアンソニー型が大判カメラの一種だということが分かったので平成に書かれた古のインターネット様式の記事でこれは大判カメラの一種で~カビネ判で~と読んでみたが理解が難しい。大体フィルムカメラが滅んだこの時代に大判カメラを語られてもピンと来ないのが実情だろう。スマートフォンならぬ便利な板の表面を眺めるのでは限界がある。
 
 学校の授業で江戸時代の生活や道具を分かり易く語られても「すげー、なるほど」の感想しか思い浮かばないし、学の無いバカガキだからその程度の所感しか得られない。ところが社会科見学で古民家や道具を実際に見てみるとバカガキでもその生活様式はある程度見えてくる。
 
 知識を学んだ上で実物を手にしたり体験すると、未知への理解度というのは通常の勉強だけでは得られない高い栄養素となった心当たりの方は居ないだろうか?
 
とりあえず、そこそこ程度の良さそうなアンソニー型カメラを買ってしまおう
 
 と考えて数日間便利な板で検索した。置き場所や知識云々は後から考えればいいのだ。その過程で アッ!なんか凄く良さ気な個体を見つけた。
 
 Jos. Schneider Kreuznach 
 
Xenar 36cmF4.5 だと!!
 
 なんとドイツ・シュナイダー社のバレルレンズ(シャッターの無い大判レンズ)のクセナーを搭載したアンソニー型が居たのだ。単焦点360mmに絞り4.5だと有効口径80mmの巨大なレンズ。素人目に見ても相当大きいと判断できた。
 
Xenar f:4.5 F=36cm
 Jos. Schuneider Kreuznach
 
 有名なローライフレックス(RolleiFlex)搭載されているクセナ―は75mmF3.5であり、中判レンズでも比べ物にならないサイズだ。大判レンズだから。軽く調べても36cm級は検索に出てこないので珍品だと信じた。
 
 憧れのローライフレックスのレンズの巨大版が存在する、ヒロインの母親をヒロインがそのまま大人になったような外見にして爆乳にすることで人気が大爆発起こすという理論があるるがそういうノリが自分の中で発生した。
 
 一目見てこのレンズが欲しいと考え、現金で一括購入した。本体に欠品は無い様なのであまり迷わなかった。ただどちらかと言うと本体がオマケだった(結構安かった)。
 
仮面ライダーディケイド第1話
(光写真館でのワンシーン②)
 
②に続く