だが 先ほどからこの者たちの
空気感
そしてチェ・ヨンをいつしか想う気持ち
チェ・ヨンと同じように
辛い愛を経てきて今がある者たち
そしてこの湖へとチェ・ヨンを 誘ってくれたこと
もうこれだけでチェ・ヨンには
この者たちを信じるに
心を許すに
値すると想えた
いや 最初から直感で分かってはいたのだ
みな愛を語り合っているが
どことなく 寂しい 瞳があった
辛い気持ちも 苦しい気持ちも
分かっている そんな瞳をしていた
それを乗り越えてきた者だけが得られる
瞳をしていた
まったく濁りのない
嘘のない
真実だけを明らかにしている
その瞳たち
ともすると
自分が一番自分を偽っているのではないか?
そのようにもチェ・ヨンは想い
この者たちと しばし
ここで ともに 過ごしてみたい
そのように心から思い始めていた
桟橋のある方に皆で歩いていく
するとそこには………
ジュンピョが 用意していた
グランドピアノが置かれていた
キム・タンが「この曲を聴いてから」
そう言った時に
すでに教会にも湖にも
ピアノを用意させていたジュンピョ
執事とジュンピョ
以心伝心そのものであったから
ジュンピョがしたいことは
すべて先回りして用意されていた
重量があるからこの桟橋
補強させたんだ
超特急で
「仮置きだからこれで我慢してくれ」
そうジュンピョが言った
キムタンが驚いて目を見張る
「これで我慢って……」
「ベーゼンドルファーじゃないか」
「ヨン……大丈夫か?」
「世界に1台限定ものだぞ」
「いくらシンファがすごいからって……」
「まあ そこらへんは細かいことは詮索しないで」
「ヨン…ほら早く弾いてくれ」
「ほら ほら」
そう言ってジュンピョはチェ・ヨンを
椅子に座らせた
手をその鍵盤に置いてみるチェ・ヨン
先ほどから黙ったままだ
「お前が弾かないなら 俺が弾くぞ」
そうジュンピョがせかす
実は自分も弾きたくてたまらなかったのだ
あの誕生日 辛かった誕生日
ジャンディが弾いてくれたあの歌
あの横で自分も一緒に弾きたかったジュンピョ
ピアノもあれから少しずつ練習してきて
Say Somthing
同じ旋律のこの曲ならなんとか弾けるんじゃないか?
そうも想っていた
ずっと見ていたユンソンが言う
「ジュンピョにはまだ無理だな」
「何? 何言ってるんだお前」
「お前にはまだ無理だ」
「このピアノは」
「ヨン お前しかいない」
「お前早く 弾け」
「聴いてやるから」
そう言って キム・ナナの手を引っ張り
桟橋に腰を下ろした
足をぶらんぶらんさせながら
つないでいた手を 肩に回し
二人で 微笑みながら 月を眺め始めた
後ろを振り返り
「早く! 早く弾いてくれ」
そう言う
キム・ナナがユンソンの手をつねり
「いたっ 何するんだっ」
そう言うユンソンの唇を
手のひらで塞いだ
「しっ」
「もうデリカシーなさすぎっ」
そう小声で言う
そんな怒るナナが可愛くて
ユンソンはまた ナナの唇を
ついばんだ
ちゅっ
そんな音を響かせながら
皆がユンソンとナナを微笑ましそうに
見つめる
「こいつら 本当に好きなんだな」
「ユンソン…お前 本当に明からさまだな」
「本当は いつも隠してきたんだろ?」
「そんな気持ち」
「俺たちにそんなに心開いて……」
そうチョン・チノが全部お見通し
そんな表情でつぶやきながら
こう言った
「俺 バイオリン弾けるけど」
「どうする?」
「お前もか? 俺が弾こうとしてたのに……」
ジュンピョが言う
「じゃあ じゃんけんで決めるか?」
「お前本当弾けるのか? うまいのか?」
そうぶつくさ言いながらじゃんけんをする二人
チノが勝った
「じゃ 最初は俺で」
「次 お前が弾けばいいじゃないか」
「なんだ 俺だけ聴いてるだけか……」
そうユンソンがつぶやく
「でも まあいいや」
「そんな素敵な曲なんだろ?」
「俺たち 素敵な曲とやら聴きながら……」
「なあ ナナ!」
そう嬉しそうにいうユンソン
キム・ナナが 今度はほっぺたをつねった
「もう さっきからなんだよっ」
そう言いながら嬉しそうなユンソン
「実は狙ってるのかしら?」
そんなこともナナは思い始めていた
「かわいい ユンソン」
「大好き ユンソン」
そうつぶやく ユンソンの耳元に
顔をさっと真っ赤にするユンソン
ほかの女性たちがそれを見て
くくくっと皆笑った
「ユンソン……本当かわいいし かっこいい……」
そう ジャンディが言う
それを聞き逃さなかったジュンピョ
思い出していた
あの楽しかった
俺の誕生日なのか?
そう思ったあのデート
でも あの後の心が引きちぎるられるような
あの辛い想いも同時に
思いだしていた
いきなりジャンディにストールを引っ張られ
そしてそっとキスをされ
驚いて 目を見開いてしまった
あの時
そしてそのまま瞳を閉じ
ジャンディの唇を
そっと口づけられただけの
キスを 味わった
最高に嬉しかったあの時
瞳を閉じ あの時のことを
思い出していたジュンピョの耳に
チェ・ヨンが少し練習で弾き始めた
ピアノの音色が聞こえてきた
最高の幸せとどん底の辛さが蘇り
もう我慢できなくなったジュンピョ
我慢していたのだ
今まで
自分がこの5人の男のまとめ役
そう想っていたから
自分は理性を保って
そのように実は想っていたジュンピョ
だがその理性も もう止めることは
できなかった
「俺だけ してない まだ」
そう言うと ユンソンをかっこいいなどと
言っていたジャンディの腕を強く引き寄せ
自分の胸にバウンドするジャンディの顎を掴むと
小さなジャンディをまるで抱きかかえるように
昔とは違うキスを
まるでチェ・ヨンやユンソンのような
熱い 大人の男のキスを
初めて 見よう見まねで
頑張って 勇気を振り絞ってやってみた
ただ唇と唇を合わせるだけでなく
あの ポンポン菓子を売っていたジャンディの
手を引っ張り 強引にキスをした時のように
その唇を貪るように奪い
吸い取り 唇を割り その中へと進む
チェ・ヨンが静かにピアノを弾き始めた
キム・タンがジュンピョたちのキスを見つめながら
歌い始める
チョン・チノがしかめ面の表情で
俺はそんなキスじゃなく
早く愛し合いたいんだ ケインと
そのような瞳で でもバイオリンに集中するように
出番を待っている
哀しい歌に聞こえるが
自分たちに 勇気を出して
そう言っているようにも聞こえるこの歌
Say Somthing
「俺たちは諦めない男の集まりだろ?」
そうユンソンがつぶやいた
キム・ナナの肩に手を回し
そして月を眺めながら そう言う
そして ふっとナナと微笑みあうと
熱いキスはジュンピョに任せて
自分たちは
ちゅっ
そんな軽いキスを繰り返している
チノがバイオリンを合わせ始め
サビの盛り上がりの部分に差し掛かると
ジュンピョは もうジャンディを
押し倒すかのごとく
頰をへこましながら その愛を
激しい愛を ジャンディに注いでいく
ジャンディの顔は真っ赤になり
ジュンピョの胸を叩いているが
ジュンピョはお構いなし
チェ・ヨンのピアノの盛り上がりに合わせ
止まること知らず
そのジャンディのかわいい唇から
出ようとしない
離そうとしない
一回目の演奏が終わり
ようやく 唇を離したジュンピョ
ジャンディが息もたえだえに
「ク・ジュンピョ!」
「もうっ」
「息が止まるかと……思った!」
そう喧嘩のような喧嘩でないような
そんな会話を繰り返している
チョン・チノがバイオリンを置き
静かにパク・ケインの肩を抱く
「俺 どうだった…かな……」
「すごく 素敵だったわよ」
「その指 素敵……」
そうマリッジリングを見つめながら
うっとりした瞳でチノにもたれかかるケイン
「みんな素敵ね」
「本当にいい人たちばかり」
「私 嬉しいな」
「久しぶりにあえてほんとはチノと……
たかったけど……」
「ん? 何をしたかって?」
「うんん いいの」
「だから なんだよ 言ってみろ」
「いいの また後で」
そう頬を赤らめて言うケイン
チョン・チノはそんな新妻ケインが
可愛くて
チノもまた 唇を開けて
ふと空いていた ケインの唇に
合わせると 最初からその中へと
入っていった
躰の芯まで熱くなる二人
どこか 他の場所へ
そう引っ張っていくチノ
「え………」
そう言いながらも手を引っ張られながら
二人は桟橋を後にしていった
ユンソンが見送る
「あいつら 一番すごいんじゃないか」
「結局」
「あんな理性の塊みたいな顔して」
そうあからさまに言う
またキム・ナナがユンソンをつねりながら
「私たちは ここであの月をみていましょ」
「ね ユンソン いいでしょ?」
そう瞳をくりくりさせながら言う
「ちぇ 俺も……まあいいか」
「急がなくても……」
そうユンソンは言うと
またキム・ナナの肩に手を回し
二人 蒼い月を眺め始めた
チェ・ヨンがウンスを呼ぶ
「イムジャ……」
「ここへ……」
「ほら ここへ」
そう少し拗ねた顔をして誘う
「ここって どこ」
ウンスがつっけんどんに言う
「だから ここです」
「ここと言っておるのに イムジャは」
「早くこちらへ 座って」
「だって こんな狭いところ」
「よいから 早く 座って」
そう頑として座らせようとするチェ・ヨン
「早く 早く……」
最初にこの湖を向いて立ち 振りかえった時の
顔をしながら
チェ・ヨンがウンスを呼ぶ
少し怒ったような
少し拗ねたような
そんな顔で ウンスを呼ぶ
ようやく側にきたウンスを
ざっと 急いで椅子に座らせると
その後ろから椅子をまたぐようにして
どさっと腰を下ろすチェ・ヨン
密着しすぎて ウンスは辛かった
チュホンに二人またがり
チェ・ヨンの黒マントにくるまり
密着しすぎて 躰中が熱くなり
我慢できなくなってしまった
あの時のように
ウンスは ほてりすぎて
辛かった
だが それを悟られないように
湖を見て
「この湖 まるであそこみたい」
気持ちとは違うことをつぶやいてみる
そんな気持ち とおにお見通し
そんな表情で
チェ・ヨンがいつものように
ウンスの耳元に唇をつけて
熱すぎる唇をぴったりとつけて
頭の芯まで響き渡る声で言った
「イムジャ…愛しております」
「俺はイムジャを ずっと 永遠に…」
そう言うと
頭が真っ白になったウンスの両手を
ピアノに乗せ
その上から自分の手を覆い
弾き始めた
「こうして弾くのですよ」
「イムジャ…ピアノは弾けるのですよね」
そう静かに耳元で囁くチェ・ヨン
ウンスの背中を その広い胸で抱き込んで
躰をぴったりと合わせて
椅子に二人座り
チェ・ヨンの熱く逞しい両脚が
ウンスの細く華奢な脚を閉じ込めて
「俺の指を……感じて」
「俺を……感じて……」
「瞳を 閉じて」
「自分の感じるとおりに」
「俺の指のとおりに」
「俺の 脚とともに」
そうささやき続ける
ウンスは
もう何がなんだかわからない状態にまで
意識がトリップして
チェ・ヨンの催眠術にかかったかのように
その指を
その脚を
その頭を
その躰すべてを チェ・ヨンの身に任せ
言われるとおりに
チェ・ヨンの滑らかな指を感じながら
弾き続けた
キム・タンが
ウンサンを抱き寄せながら
ウンサンの耳元で歌い続ける
甘い声で
低いけれど 甘い伸びのある
高音で その甘さが伸びきる声で
歌う
皆が それぞれの愛に酔いしれていた
チェ・ヨンは気持ちが昂りすぎて
こんな場が 天界で用意されていたことを
神に 父上と母上たちに感謝しながら
蒼い月をちらちらと見ながら
そしてウンスに愛をささやきながら
瞳から きらっと光る涙を
ウンスの髪へと落としながら
ウンスの指を誘導するように
「イムジャ…上手です」
「イムジャ……俺のいうとおりに」
「イムジャ…俺の指 感じて……」
「もっと 感じて……俺を……」
そう言いながら
自分の両脚でウンスの脚を
押さえつけ
俺から逃げられないのですよ
そう言うかのように
その熱を伝導していく
ウンスはもう耐えられず
ただ ただ
チェ・ヨンに支えられているから
そこに座っていられるだけだった
「こんな 幸せ……」
「あって……いいの……?」
そう言いながら
チェ・ヨンとウンス
Say Somthing を
弾き続ける
皆の愛が ずっと ずっと
空が白み始めるまで 続きますように
皆の幸せが もっと もっと
夜の帳が溶けるまで 続きますように
この頑張ってきた
辛く苦しい状況を乗り越えて
集まった 男たちに
幸せが 降り注ぎますように
チェ・ヨンは祈りながら
ウンスを抱きかかえ
その前の湖へと すぐにでも飛び込みたい
気持ちを 必死の想いで押さえながら
この曲 あと5回弾き終わったら
皆で 湖へ
そう側にいるキム・タンに
苦しそうな瞳で 心の想いを告げると
タンが
「分かった」
そううなづきながら
チェ・ヨンとキム・タンは
演奏を続けた
Say something, I'm giving up on you
And I'm sorry that I couldn't get to you
And anywhere, I would have followed you
Oh-oh-oh-oh say something, I'm giving up on you
何か言って
あなたを諦めてしまいそうになるから
ごめんなさい
あなたを十分に理解できなくて
私はどこまででもあなたについていけるの……
だから 何か言って
そうでないと諦めてしまうから
チェ・ヨンが弾きながらささやく
「俺たちは 諦めぬ」
「俺たちは ずっと一緒だ」
「俺たちは 本当の気持ちを言えるのだから」
そしてウンスを背後から見つめると
ピアノを弾きながら その両脚で自分の気持ちを
ウンスに伝えながら
顔を回り込ませて ウンスにキスをした
「愛しております」
「イムジャ」
「俺は…イムジャを 愛しているのです」
「……イムジャ……」
PS. (この下、storyの余韻を壊す内容でして
読まなくて読んでもどちらでも。笑)
この物語は、現在再アップ中でして・・
今年こそクリスマスヨンの続きを完結する目的(予定)があり(汗)
不定期UPしときます・・。
では、明日から泥沼の1週間(私の場合は汗)
頑張りましょう・・・
超絶ブルーなう(汗しかでない)。
で。
今背後から「ふっ」と失笑する声が・・
「なにそのハミ肉」(byおーさん)
座っている私の背中
ピラティスウエアで空いてまして
座るとハミ肉があるそうです。
「まさかそれ着て外行ったの?」
「上着着てるし」
「よかった。上着があって」
「本当に・・・」
なんだと〜〜〜!笑
で。
フロムなう。
ナチュラルワイン
ボジョレー
21.08pm
ダイエットする気
あるのかー!笑っ。
うまっ!
久々すぎる
生ハム