アメリカ・マサチューセッツ州(MA)

東海岸にある文化の都市 ボストン

 

まるで欧州のような

赤レンガや石畳の古い街並みは

アメリカでも古い歴史を持つ街の象徴で

イギリスからの清教徒によって開かれた

 

 

そのような ニューイングランド最大の

経済と文化の都市 ボストン

 

隣接するケンブリッジ市には

アメリカ初の大学 名門ハーバードや

ユンソンが博士の学位を取った

マサチューセッツ工科大学(MIT)など

世界を代表する大学も多い

 

そして何より 都会でありながら

緑あふれる公園が多く 街の中心地には

ボストン・パブリック・ガーデンや

ボストン コモンなど

 

市民の憩いの場として 子供から大人まで

多くの人々が 

スポーツをしたりウォーキングをしたり

さまざまな楽しみ方で過ごす姿が多く見られる

 

 

春の桜 5月の緑もいいが

なんといっても壮大なのは

秋の紅葉だ

 

銀杏並木から落ちる黄色い葉が

地面に敷き詰められ

まるでそこは天国のような

この世のものとは思えない美しさ

 

 

その黄色い絨毯を踏みしめながら

5組のカップル 

嬉しそうに手をつないで

それぞれの愛を語らいながら

それぞれのKissを何度も何度も

重ねながら 

 

歩いていく

 

 

多分秋にはこの物語に登場する5人

それぞれが 思い思いのデートを

この公園で過ごし

 

そしてその先にあるのは

 

多分……

 

 

 

そんなアメリカの古都・ボストンを舞台にした

 

The Five Kisses

5つのキス物語

 

どんな物語が繰り広げられるのか……

 

 

 


 

 

あれから数年

二人はこのボストンで

この天界での自由な生活を

存分に満喫していた

 

 

真っ青な空の下

どこまでも広がる広大な緑

その二人しかいない真緑の芝生に

大の字になって 自由に 嬉しそうに

寝そべるユ・ウンス

 

自由な天界を 誰も知っている人が

いないほどの自由な世界を闊歩して 

 

今 ここで ウンスは

思いっきりの背伸びをしている

手と脚が胴体から離れてしまうくらいの

伸びをしている

 

 

その横には

4人のうち誰に習ったのか

クラッシックギターを片手に

イギリスの牧師が作曲した賛美歌

アメリカで最も慕われている曲

 

Amazing Grace♬を奏でるチェ・ヨン

 

 

それに合わせて綺麗な……

いや時々少し音を外した調子で歌うウンス

 

 

チェ・ヨンはあの時のウンスを思い出しながら

くすりと笑いながら

体でリズムをとりながら

この草原に本当によく似合う

この曲を奏でていた

 

 

♬Amazing grace how sweet the sound
That saved a wretch like me.
I once was lost but now am found,
Was blind but now I see.♬

 

♬アメージング・グレース

なんて美しい響きなの

私を救ってくれる

かつて道を外しかけた私だけど

そんな私を救ってくれて

そして今私は ここにいる♬

 

ちょっとかなり意訳だけど

私たち そうよね

二人とも どこかへ違うところへ

哀しい道に

進もうとしてしまうところだったけれど

 

そんな私たち 神様が救ってくれて

そして今私たち こうしてここに

幸せに 二人で いられるのよね

 

そうウンスは想いながら

 

本当に嬉しそうに

高麗では見たことがないくらいの笑みで

チェ・ヨンに微笑みかける

 

チェ・ヨンは少し照れながらも

いつものあの少し仏頂面のはいった

顔をしてギターを奏でる

 

 

心の中では嬉しそうに微笑んでいるのに

 

ううんっ

 

そう一つ咳払いをして顎を少し引き

またその仏頂面を保とうと必死なチェ・ヨン

 

恥ずかしかった

まだまだ 恥ずかしくてならかったチェ・ヨン

 

 

ほかの4人の男のように

大声で思いっきり笑うのには

まだまだ 時間が必要だった

 

いや ほかの4人の男もどうだろうか…

大声で思いっきり腹の底から笑えているだろうか

 

だが この4人

このボストンでともに関わりながら生きて行く中で

徐々に その心を開き始め

心の底からのとびっきりの笑顔の片鱗は

見せ始めていた

 

そんな笑顔を見られるのも

そう遠くはないこと

 

そのように思える5人の男達

 

 

 

 

だが今は まだ 仏頂面な顔を必死にして 

ここにいる男 チェ・ヨンは

少し音を外しながら歌うウンスを

ちらちらと ウンスに分からぬように

眩しそうな瞳で視線を送っていた

 

 

この広い草原 二人しかない

こんなに広い場所なのに

緑の丘はずっと先まで続き 

ここにいるのは

チェ・ヨンとウンスだけ

 

とある大学の裏スペースに広がる

青々とした芝生が育つ広大な草原

 

今日はク・ジュンピョが貸し切ってくれた

二人のために

 

今日一日 二人で過ごせと

今日は二人の記念日だからと

 

 

歌い終わって チェ・ヨンが言う

 

 

「もう一度弾きましょうか?」

 

 

間違わずにうまく弾けたから 

少し気分が良いらしく得意気な顔をしている

 

そんなチェ・ヨンが可愛らしく思え

 

 

「そうね……でも……」

 

 

そう言うと おもむろに起き上がって

チェ・ヨンの艶やかな頬に

一つkissをして そして駆けていく

 

 

緑の草原を 一心に

時々チェ・ヨンの方をみながら

 

ほら 捕まえられるものなら捕まえて

 

そんなジェスチャーをしながら

走っていく

 

 

驚いたチェ・ヨンは思わず

ウンスにkissされた頬をなで

その感触を味わう

触れた手を眺める

 

そして 

ギターを腕からはずし すっと立つと

 

一足飛びに走り あっという間にウンスを捕まえ

そして二人 

 

その緑の中に激しく絡み合いながら倒れこんだ

 

 

満面笑顔のまるでいたずらっ子のようなウンス

真面目すぎる表情のチェ・ヨン

 

ヨンは唇を一旦噛み締めると

 

ウンスを抱きしめ ウンスを見つめ

そしてウンスに

 

口づけした

 

 

その筋肉で盛り上がった腕を

ウンスの背中に回し

 

そしてその細く柔らかい背中を

大きすぎる手で

何度も何度も撫でながら……

 

その想い 激しすぎる想いは

チェ・ヨンの口づけに具現化され

ウンスの唇を貪る 貪り食う

 

 

 

我慢などできぬ 

 

俺から逃げるなどと

どうしたら

そのようなことが考えられるのか?

 

ウンス そなた

俺の愛がいかほどなのか 

どれほど凄いものなのか

まだ分かっておらぬのか?

 

 

真面目すぎる顔で

大きな喉仏を一つごくりと動かすと

そうウンスの耳の中で

 

その熱い息とともに囁いた

 

 

大真面目なその口調で

だが 震える声で………

 

 

 

 

 

あの高麗で まだ仮祝言を挙げる前の二人

いろんなすれ違いがあった

 

いやすれ違いではなく

 

愛したくても愛せない

愛してはいけない人

 

そう想っていた二人

 

その辛さ どれだけ味わったのか

 

 

「あなたに俺のどんなキヲクも

残しておきたくはありませぬ……」

 

 

そうチェ・ヨンは言った

 

 

我慢に我慢を重ねた日々

だがその想い 爆発して

結局は 後などかえりみず

 

 

二人は…

 

 

あの死角で……

 

 

 

 

実は ユンソンも 

同じ言葉を キム・ナナに言っていた

 

まだ見ぬキム・ナナ

写真でしか知らなかったキム・ナナ

 

それほど好きだったのに

出会ってさらに 

好きで好きでたまらなくなっていたのに

 

 

「俺はだめなんだ お前とはだめなんだ」

 

「だから俺のキヲク お前に一つも

残すわけにはいかないんだ」

 

 

そう呟いた 一人で 自分の机の前で

キム・ナナの写真を見ながら

そう自分に 呟いた

 

 

 

ユンソンとチェ・ヨンの眼差しは

どこか似ていた

 

 

「人は死んでいくもの どうせ死ぬのなら

一人静かにいこうと決めていました」

 

チェ・ヨンが 高麗で言った

 

 

「だけど 起こされるんだ」

 

「時々 こう囁くんだ 俺に 誰かが」

 

 

ユンソンがソウルで言った

 

 

 

「目覚めろ」

 

「起きろ」

 

「生きてみろと」

 

 

チェ・ヨンとユンソンは

二人 同時に高麗とソウルでそう言った

 

 

持っているものは

 

鬼剣と銃

 

生きているのは

 

高麗とソウル

 

まったく違うものなのに

まったく違う場所なのに

同じことを言った二人

 

 

 

「あなたを護ることもできないのに

わたしは欲を出しました」

 

「お前を護ろうと欲を出し

俺はお前を危険な目に合わせた」

 

 

「俺は 今まで 何をしていたんだ……」

 

 

チェ・ヨンはその記憶を

今愛そうとしているウンスの前で

 

 

MITの構内にいるユンソンも

その記憶をキム・ナナの目の前で

 

想いながら

 

 

妻と 

 

恋人と

 

激しい愛に溺れようとしていた

 

 

 


 

 

 

ボストンミュジーアムに響き渡る

チェ・ヨンの熱すぎる口づけは

 

そこにいる男たちを圧倒していた

 

「そんな口づけ したことない」

 

唖然とした表情で見つめる

 

ユンソン

チノ

そしてジュンピョ

 

いや 3人ともそれぞれkissの激しさは

他の男たちなど比べものにならなかったが

 

チェ・ヨンのそれは

気合が違った

想いも違った

置かれてる背景が違いすぎているからか

 

生死を賭けている毎日

そのような覚悟のある者にしか

できぬ口づけだった

 

口づけとは このようにするものだ

 

まるでそのように言っているかのように

続く 永遠に続くような口づけ

 

ウンスがチェ・ヨンの肩を叩き

 

もう 息が止まる

 

そのような仕草で合図すると

 

ようやくチェ・ヨンは はっと気づき

ウンスを離し

 

「大丈夫であるか?」

 

そう言った

 

あんなに吸い続けていたのに

まったく息を切らさぬチェ・ヨン

 

一方でウンスは だんだん慣れてきたとはいえ

まだまだ肺活量はチェ・ヨンのそれには

ほど遠く

 

はあっ はあっ はあっ

 

そう荒い息をついている

 

「すまぬ また俺……」

 

先ほどの強気はどこへいったのか

そうとても心配そうな瞳で

右手をウンスの肩におき その顔を見つめる

チェ・ヨン

 

「空気足りぬなら 俺がもう一度

吹き込もうか……」

 

そう言うチェ・ヨン

 

「もう いいから」

 

「大丈夫だから」

 

そうまだ荒い息をつきながら

チェ・ヨンの迫る顔を 少し押し戻す

ウンス

 

ユンソンが口を出した

 

「お前 すごいな その口づけ」

 

「お前どこからきたんだ?」

 

「ソウルか?」

 

 

「言葉遣いも相当古風だが…」

 

「仮装大会とやらは言葉遣いも昔風でないと

いけないのか?」

 

そう言いキム・ナナの腕を引っ張りながら

階段を降りてくる

 

ク・ジュンピョがおもむろに

そこにいる皆に言った

 

「なんか おもしれえ」

 

「お前ら おもしれえ」

 

「俺のうち すぐそこだからお前ら全員来い」

 

あとから財閥のキム・タンも来るんだ

 

あいつ結婚するから

俺 前夜祭のパーティー用意してたんだ

 

「な チノ お前も来い」

 

「仕事の話もあるし」

 

そう言う ジュンピョ

 

ジャンディが言った

 

「そうよ 多い方が楽しいし」

 

「タンたちだけだとまた…倉庫で…」

 

「でも ああさっきの方がすごいけど」

 

そう頬を赤らめた

 

「な いいだろう?」

 

「ここで会ったのもなんかの縁だから」

 

「ほら いくぞっ」

 

そう有無を言わせず そこにいる男たちの

肩を押すように

エントランスを出て行く

 

外には 大きなリムジンが待っていた

 

「タンたちを迎えにいくから」

 

「ほら 乗れ」

 

そういって全員を押し込む

 

押し込んでもまだまだ全然余裕のあるリムジン

 

執事が 「ジュンピョ様ではよろしいですか?」

 

そう言うと黒塗りのリムジンが軽快に滑り出した

 

「あっ俺の車……」

 

ユンソンが言う

 

「なんだ お前車だったのか?」

 

「連絡しとくから心配するな」

 

「それより ほら 飲めっ」

 

そう言いシャンパングラスを皆に渡すと

 

「じゃ 開けるぞっ」

 

そう言い 豪快に皆のグラスに注いで言った

 

とても楽しそうなジュンピョ

 

にやりとジャンディに微笑むと

 

耳打ちした

 

「こいつら 俺のもんだ」

 

 

 

ウンス……

このボストン・ビーコンヒル地区

 

レンガ敷きの歩道

夜になると灯るガス灯

 

俺が行ったドイツよりもさらに古い

街並みのようなのだが

すごいところだな……

 

ジュンピョやタンが金持ちだから

この富裕層が住む住宅地に

俺たちもどうやらこの先 住めるらしいが

 

ボストンコモンから始まる

フリーダムトレイル

今度みんなで回ってみたらどうだろうか

 

全長約4kmの市内主要観光地巡り

これをしてみたら

皆の結束が強まると思うのだが

どうだろう……

 

まったく皆 Kissか喧嘩かで

話にならぬゆえ…

 

まずは最初に一致団結せねば

成すことも成せぬゆえ……

 

 

(ちなみに写真は私た撮ってます。マジで笑)

 


 

追記

 

ミノさんの29歳(30歳)お誕生日

お祝い用に描いてみた

5つのKiss物語

タイトル改め

The Five Kisses

として連載することにしました

 

ク・ジュンピョお金

チョン・チノドア

イ・ユンソン銃

チェ・ヨンナイフ

キム・タンサーフィン

 

とそのお相手の全10人が

アメリカ・ボストンを舞台に

これからいろんな物語を

繰り広げる予定です…

 

登場人物が多いので

一話の中に全員は入りきらないと

思いますけれど

おヒマな時に読んでいただけると

うれしい~です♡

 

なぜボストンが舞台なのかは…

いつかのお楽しみに~口笛

 

想像してみてくださいね

大した理由ではないですけれどふんわり風船ハート

 

 

あ~高麗のチェ・ヨンにも

会いたいんだけどな~おねがいえーん

ヨン~~~ラブ

 

yuki

 

(2016年6月26日UP)

 

 

 

PS。これが最初なのかどうだったのか

なんか違う気がするのですが・・笑

よく思い出せない・・。

 

だってタイトルがVol.3となってるし・・

まあ、根気よく探してみよう

ここは物語サイトじゃないから

フライングでいっちゃおう・・笑

 

とりあえずUPしちゃおう。

縦書きは物語サイトで。再び。

 

文に。がついてなくてよみづらく

すみませぬ・・・

じゃ、本当におやすみ〜笑

 

 

さて・・3年越しの

5キス〜ヨンのクリスマス〜は

ついに成就することができるのか・・・

笑楽しみだ笑笑