イムジャ・・
今、イムジャは
何を見ていますか?
何を感じ、何を想い、何に触れ、何を・・・
その胸に感じていますか・・・。
俺は・・・
月を・・・
見て・・います。
気づけばまた
満月がやってきていました。
先ほどまで赤かったのに
今はあんなにまで白く・・
いや、蒼白くなり
煌々とした光を放っています。
いつものように、突き刺す光ではなく
なんだか、ぼんやりと
いや、ほんわかと
いや、ぼやけて見えます。
・・・・・・・・。
俺の・・
俺の瞳が
・・・・・・・・。
俺の・・・・・・
目が
滲んでいるのです。
胸が・・
痛い。
胸の下の中央に
もやもやとした黒い気があって
それがじわじわと横へと広がり
俺のそこを
突き刺すような・・
込み上げてくるようで
喉元まで上がらず
瞳から溢れそうで
零れず、また、
奥へと戻っていく・・
どうして、このように
なってしまったのでしょう。
俺は。
出してしまいたいのに
現すことができず
明らかにしたいのに
隠すことしかできず
吐き出してしまいたいのに
押し殺すことしか
できぬ・・・。
なぜ。
なぜ・・こうなのか
俺は・・
いつも・・・。
痛い。
痛いのです。
一人こうしてここに
一本の大木の麓で
立ち尽くし
あの月を
見ることが。
インジャ・・
この胸の中にあるものを
ここに取り出し
あなたに見せたい。
全てを
俺の、全てを
あなたに・・
さらけ出して・・
しまいたい・・
少し・・。
もう少し
待っていただけますか?
もう、待ってはいただけないでしょうか。
ダメなのでしょうか。
あぁ・・・。
インジャ。
ここに、俺の中に
俺のここに
来てはくれぬか。
あなたのそのくったくのない
心のからの笑顔で。
もう俺は
寝返りをうつのが
嫌なのです。
この固すぎる寝台の上で
何度も、何度も、何度も・・
一人寝返りを打ち
夜通しもがくのが
嫌なのです。
俺の側でただ揺らめくだけに蝋燭と
共に過ごす夜が
怖いのです。
あの、月と俺・・・
二人だけの静寂に
耐えられぬのです。
インジャ・・
俺の頬に
この情けない乾ききったこの頬に
あなたの
口づけを・・・・。
インジャ・・・・・。