朝5時過ぎに突然襖が開いて、お袋が食事を抱えて部屋に入ってくる。まだ寝ていた俺はとっさに何が起こったか分からずボーとしているうちに、お袋はテレビをつけて鑑賞し始めた。あまりにも傍若無人な振る舞いに「どうしたの?」と語気を強めると、「連ドラが始まっちゃうから」との返事。頭を疑問符が飛び交いつつ「まだ朝の5時だよ」と言うと、「え、夕方じゃないの?」だと。12時間間違えていたらしい。変化の少ない日常を送っている年寄りは、朝晩の区別もつかなくなるのだろうか。
突発事故で無理やり起こされたが、まあ子ども達も特に用事のないのんびりできる休日で良かった。。しかしA子は子ども達を連れて実家泊したい様子。義父母の様子が心配なのでかねてから言われていたことで承知している。しかし俺は「行っても特にすることないし、琥珀の世話をお願いしたいから」との理由で家にとどまる。正直ありがたい。俺は麻婆丼の残り、母子はパンで朝食。
散歩に出かけたお袋が倒れていると筋向いのM下さんに教えられ慌てて駆けつける。転んでしまってうまく起き上がれないようで、足を投げ出した状態で呆然としているところを犬の散歩をしていた人に発見され、M下さんに伝えられたらしい。見ると顎を打ったようで出血している。幸い他は異常なさそうで、なにより足をまた骨折という事にならなかったのは本当に助かった。抱きかかえるようにして家に戻り、出血の手当て。A子も子ども達も出発前の慌ただしい中、献身的に世話をしてくれた。
歩いての買い物をやめさせて数ヶ月たつが、もう一人外出は全面的にNGなのかもしれない。本人はリハビリの意味で体を動かしたがっているので、少なくとも休日は俺が散歩に付き合わねばならないだろう。家の中での日常生活にはほとんど介助はいらないので、介護認定(現在要支援2)が変わることもないだろうし、すぐに在宅から施設へ移すには無理があることは分かっている。以前のようにお袋の身勝手な行動に腹を立てることも少なくなった。しかし今後、次第に生活の介助負担が増えてゆくことを思うと、憂鬱な気分にならざるを得ない。
母子を見送り、俺は先日段ボールにまとめた古い漫画・書籍類をブックオフに持ち込む。去年は3箱ぐらい引き取ってもらって5千幾らかになったが、今年は1箱のみで2千円と端数。まあ正直捨てても良いものなので上出来だ。去年断られたのに続いて今年もダメだった「スーパーズガン」はともかく、高田文夫の笑芸エッセー集といしいひさいちの「ノンキャリウーマン」全3巻に値段がつかなかったのが意外。漫画文庫の「ああ播磨灘」が、帯がついていたとはいえ100円だったのに対し、ハードカバーの「赤めだか」が10円だったことも。段ボール一杯の本が10分かからずに査定が済んだので、きっとバーコードを読むとデータベースから値段が引き出されてくるのだろうが、それにしても基準が不明確だ。
買い物をして帰り、恒例の運動を済ませ風呂に入って早めの夕食。チルドのつけ麺と総菜屋の叉焼、茹でもやし。発泡酒と焼酎水割りでゆっくり食事しても21時には眠くなってしまう。琥珀のご飯を用意し、お袋の様子も落ち着いていることを確認して、静かに寝室へ。もし俺が結婚していなかったら、S羽の実家でこんな生活の毎日だったのかも。