いつもの習慣で4時半に目覚めてしまう。お袋はインシュリン注射うまくできただろうか。隣で寝ているT君を起こさないようにまたいで階下に降り、施設内の「林檎の湯」がたぶん5時からだったかと思って出かけると1時間早く、仕方なく入り口で持参した渋谷陽一「音楽が終わった後に」を読みつつ時間をつぶす。1970年代と言うとまだ彼は20代だったろうか。この情熱と論理性のバランスの妙がたまらない。下手な小説・エッセイよりよほど「読み物」として優れている。また彼も自分の批評に商品性を感じたからこそ、あの無茶なロッキンオン創刊をやり遂げたのだろう。俺もまた当時の多くのロッキンオン読者と同じく、ロックが好きというよりも渋谷のロジックが好きで、ロックへの関心を高めていったのだ。
開けたての風呂は当然他に客の一人もおらず、露天も含めて満喫できた。ゆっくり時間をかけて戻って、もう7時になろうというのに皆まだ寝ている。仕方なく洗面所に籠って照明が外に漏れないように注意しつつ、渋谷評論集を読み進める。これ捨てようかブックオフに売ろうか最後まで迷ったやつだが、取っといてよかったなあ。10代の俺は渋谷にしろ本多勝一にしろ(政治的志向としては真逆だ)論理的に明快な文章に憧れていたのだと、今ではよく分かる。8時に起こして皆で朝食会場へ。ここでも3密防止のため入場制限があると聞いていたが、そもそもの宿泊者がそれほど多くないようで、待たずに座ることができた。
しかしバイキングは各自で取り分けるのでなく、コーナーごとに係員がついて料理を取ってくれる。ただでさえ利用客が少ないところに余計な人員配置でコストがかかり、経営はさぞ圧迫されていることだろう。食後、部屋に戻って「インサイダーゲーム」。優秀なT波大生のT君が、演技が下手でインサイダーまる分かりなのが可笑しい。こういうポーカーフェイスに強いのは何といってもWだ。チェックアウト時間になって体育館に移り卓球・バドミントンで汗を流す。それにしても20歳を超えて大人になったT君が、小中高生のうちの娘たちと屈託なく一緒に遊べるその包容力に感心させられる。カッコつけることも尊大ぶることもみじんもなく、異性の下世代と一緒に心から楽しめるというのは、もはや大きな才能だ。彼は教員を目指しているというから、正に天職となるだろう。
母子は昨日も食べたという特大かき氷4種(抹茶・マンゴー・苺・ミルクティー)を皆でシェアして食べ、T君と別れる。彼はそのままバス~電車でT波に戻るという。また来年…はWの受験でどうなるか分からないが、H四会は無事行われることを祈るよ。お土産を買って帰途につく。運転にいまいち自信のないA子は子ども達を俺に預け、別々に出発。しかし一人で運転しているA子が途中眠くなってしまわないかかえって心配になる。S岡SAで一度合流して早めの夕食。ここで以前より子ども達に読め読めと薦められていた「呪術回戦」の1巻をWから受け取り、ついに読み始める。いやーそりゃちゃんと読めば面白いよね。ただ虎杖という主人公があまりにも超人な身体能力過ぎてご都合主義に感じてしまうが。
それほど腹減ってないだろうという俺たちの読みに反し、子どもたちは海鮮丼のがっつりした奴を選び、俺とA子はそれぞれそば・ラーメンで済ませる。また分かれて運転し、家に戻ったのが18時ごろ。琥珀も元気そうで何より。一通り片付けを済ませ、皆で2階の寝室で借りていた「バックトゥザフューチャー2」を見る。徹底して漫画チックな表現が清々しい。琥珀は久々にケージから出られて興奮しているのか、カーテンやら台拭きやらにとびかかったりして忙しそう。今晩大人しく寝てくれるかな…。