もともと仕事に対する意欲の低かった俺だが、お袋入院騒動を経てまた一段と消極的になっている、というか気持ちが沈んで鬱々とした状態が続いている。朝、子どもたちとは笑顔でバイバイタッチをして出勤するのだが、学校に着いて校舎に入る頃はすっかり気持ちはブルー、苦虫を噛み潰したような顔になっている。副校長に顔色を心配されるわけだ。

朝の挨拶当番時に、一緒に挨拶する27HRの男子生徒がのんびり歩いてきたので、近くへ呼びつけて「遅れてきて済みませんくらい言え」と注意すると、横から3年主任のF城さんが「いや今ちょうど8時だよ」生徒も「ですよねえ」と二人で結託して対抗する。何なんだ、皆が既に務めをしているところへのんびりやって来たから誠意を見せろという意味くらい分かるだろうに。終わる時には二人ともF城さんの方に向かって分かりやすく「お疲れさまでした~」と挨拶。俺のクラスの生徒なのにこの疎外感。

授業も世Aは相変わらず自習で後ろめたい。M井さんは今日も欠勤で、このままテストを迎えさせるのはあまりに可哀想なので、自習監督に行ったクラスで出題ポイントなどを伝える。ここでも「自習と聞いていたので教科書持って来ませんでした」という奴。誠意が伝わらない。

放課後、調査書審査を終えて定時に帰宅。不登校を続ける二人の家庭に、再度方向転換を促す電話をしたのがせめてもの主任の務め。逃げるような気持で職場を後にする。病院でお袋の食事介助…と思ったが、回復が順調なようで今日はずいぶん顔色も良く発語もはっきりしている。しかし相変わらず立てないようで、このまま「治療完了、後は自宅で」となったら身の回りの世話が大変なことになる。何とか身辺自立の域までには回復してほしい。

帰って夕食はチャプチェ、子どもにワンタンスープ、大人にスンドゥプ。木曜なので酒は我慢しようかと思ったが、A子がおつまみにと椎茸のマヨピザを作ってくれたので甘んじて発泡酒、一杯だけワイン。家族に愛され、健康でいられるのだから、些細な不満や行き違いなど軽々と乗り越えて役目を果たしていかねばならないのだ・