さて、いよいよ入学式だが、あいにく今日は一日中雨らしい。中学校は午後からなので、YもA子ものんびりと寝ている。WとIに至っては今日は休みなので起きる気配もない。そう言えばWは何だかガサツな体育教師が担任になったようで、「上にへつらい下に威張る嫌な感じの人」とA子が言っていたが、まあいつも素晴らしい担任ばかりに当たるより良い経験になるだろう。俺だって各家庭でどんな評価を下されているか分かったもんじゃない。ちなみにIは昨日さっそく可愛いイラストの連絡メモが来て、細かな気遣いのできる人だとA子はご満悦。この担任もそうだが、A子によると小学校の先生は女性の方が圧倒的に当たりが多いとのこと。えーえー、そうでしょうよ。
雨なので礼服は衣装ケースに入れてジャージ登校、ついてっさっそく着替え体育館で生徒を迎える。真面目そうな生徒が多いのは例年通りだが、本校の基準に照らすと髪型が違反となってしまうものが多いな…。大体前は眉毛にかからぬよう、横は耳に、後ろは襟にかからぬようというのは、現代においてはちょっと厳しすぎる気もする。式典ではとちることもなく呼名でき、教室に保護者ともども引き連れて初の本格的な対面となる。まずは事前に十分準備したかいあってたくさんの配布‣回収物を短時間でこなし、副担のU野先生と二人であいさつ。ここで俺は普通に自分の専門や趣味などを話しただけだが、U野先生は付き合いが長いこともあってずいぶん俺を持ち上げた話をするので恐縮。
特進クラスの受け持ちとあって保護者の期待や不安が高いことを見越してだろうが、「素晴らしく情熱のある、信頼できる先生です」と熱を込めて紹介してくれた。しかしこの3月に卒業させた生徒の幾人かが国公立に進学したことを例に挙げて「進路指導も抜群です」というのはあまりに現実とかけ離れていて、贔屓の引き倒しになるからやめて。俺へというより保護者へのリップサービスだとは思うのだが、現実との落差を知って非難の目を向けられるのは俺なのだから。…って俺もそう卑屈になることもない。
保護者がガイダンスのため体育館に去り、U野先生も回収物仕分けのため職員室に向かうと、残りの1時間以上を俺が仕切らねばならなくなる。学校の日課や当番の仕事、当面の日課等を説明した後で、最後にクラスの目標を「切磋琢磨」としようと呼び掛けて終わる、はずが「琢」の字が度忘れして出てこない。ノートを見直して何とか書いたが、失笑も起き面目は丸つぶれだ。でも面目を保とうとしないで舐められることを甘んじて受け入れる方針にしたので、却ってこの方がよかっただろう。打ち解けた雰囲気のためか、代表委員も男女二人が立候補してくれた。やれやれ。
職員室へ戻って回収書類の確認などをする頃には、どっと疲れが来る。これまでずいぶん生徒と向き合う場から遠ざかっていたから、知らず知らず気を張っていたのかも。一通り机の上が片付き、部活へ向かう。本当は来週のいろいろ準備をしたいのだが仕方ない。筋向いでせっせと授業の準備に余念がない再任用ハーフのU美先生が羨ましい。彼は何かと副教材や指導書を所望し俺に確認を迫る。そのたびに仕事を中断して対処するのだが、俺はもう教科主任じゃないっつーの。ベテランの割に、とにかく準備万端で授業に臨みたいようだ。去年来たI藤さんもそうだが、なんだか自分の庭だけ完璧に綺麗にして他は知らないという感じの人が増えたなあ…。
プール練習を終えると17時過ぎ、もう今日は直帰だ。母子は実家泊のため、スーパーで納豆巻きと唐揚げを買って帰る。録りだめた番組を見ながら(スタジオパークが終わって始まった新たなトーク番組が陳腐で見ていられない。船越英一郎と美保純を起用した意図は何?清水ミチコや戸田恵子の方がずっとセンスが良かった)ハイボールの500ml缶を空け、だらだら過ごす。今週末でこのだらだら感ともおさらばか…。