修学旅行2日目。寝たのが遅かったわりに5時台に目覚める。朝食はバイキング、しばらくホテルのバイキングが続くなあ。出発準備を整えクラスごとにバスへ。まずは平和公園で戦争体験者の講演会。少年時代、戦火をくぐりぬけて生き抜いた貴重な体験談。平和を守らねばという感想とは別に、だんだん戦争体験話も実際に戦場に出向いたとか、銃後を守ったとかいう話ではなく、幼少時の戦災体験を持った人しか残らなくなってきているんだなあと、戦後68年の時間の流れを感じる。

その後平和祈念館を見学、公園で記念写真、ひめゆり公園で献花・黙祷。記念館では他校の高校生がふざけて高笑いしているのが耳触り。真面目を強いるような厳粛な空間をぶち壊して、「俺って無頼だろ」とアピールしているのだろうか。ビートたけしは確かに笑いの革命者だったけど、形式や体裁を笑い飛ばすのはパイオニアだけに意味があるんだというところまで、きちんと啓蒙してほしかった。幸いうちの生徒たちはそこまで軽薄でなく、しんみりと体験談を読んだり写真に見入ったりしている。もっと時間を取ってあげてもよかった。

近くの土産物屋でクラスでの昼食。ありきたりの箱膳だが、ジューシーとかいう豚コマ・ひじきを炊きこんだご飯が美味しい。食後はいよいよクラスごとの研修。殆どが沖縄ワールドという鍾乳洞+遊園地のテーマパークで過ごすのに対し、うちはまるきり俺の趣味で決めさせてもらった。まずは斉場御嶽という沖縄最大のスピリチュアル・スポットへ。ここも騒ぎたがるお馬鹿な集団ではとても連れていく気がしなかったが、大人しく真面目なうちのクラスでは大丈夫だろう。内心はつまらないと不満を持っているかと思ったが、後で読んだしおりの感想では「パワーをもらった」「神秘を感じた」等々訪れて良かったという意見が相次いでホッとした。

その斉場御嶽、一般公開前まではノロと呼ばれる神女の祭場で男子禁制の場所だったらしく、とにかく騒がないよう、石ころ一つ持ち出さないようガイドさんから念を押される。何でも世界遺産登録されてから観光客が増えたのはいいものの、ご多分に漏れずマナーの悪さに神聖な霊場が穢れると憤っている地元の人たちから、公開禁止を訴える声も出ているのだと。我々も男女別のグループにに分けられ、沖縄人にとって「神の島」久高島出身のガイドがそれぞれについて丁寧に説明してくれる。しかし専門用語や方言が多く、生徒にはあまり分からなかっただろうなあ。それでも好意的な感想が多かったのは、神々しい何かに触れたと感じ取ったからか。

次いで座喜味城址。古代オリエントかエーゲ文明を思わせるような石造りの城跡が、雲ひとつない晴天の夕日を浴びてこの上なく美しい。集合写真を取り、ふざけ合っている男子生徒たちをからかっていると、突然真面目なY典が来て「先生、違う違う!」と叫ぶ。何が違うんだと思って聞き返すと、「血が!」と言っているのだと分かる。班メンバーのN住が突然鼻血を出して、結構な量でティッシュから溢れて腕につたっている。驚いて追加のティッシュを渡し、バスに連れ戻して安静にさせる。幸い大したことなくじきに止まったが、残念ながらゆっくり夕焼けを背景にした城跡を鑑賞している時間はなくなった。全員戻ったのを確認し、バスは今日明日と連泊するリゾートホテルへ。

7年前のカヌチャもゴージャスだったが、今回泊まる万座ビーチもなかなかのもの。一時は修学旅行生御断りの時期もあったようだが、この不景気が続く中では貴重な団体客として受け入れも止むなしなのだろう。しかしバイキングの食事は大したことない。ていうか今朝のビジネスホテルの方が内容はよかったんじゃないの?ジュースは一人1杯と限定だし、お茶もコーヒーも用意がない。何よりご飯に合う和風のおかずが少ないのが不満。果物と肉類で誤魔化された感じ。ましかし修学旅行パックではこんなものかも。

急造カップルがあちこちに出ているようで、夜のビーチに行かないよう注意する。食後やっと家に電話する時間が取れた。YもWも、祈さえ嬉しそうに電話で「早く帰ってね」と甘えてくる。A子は食事から風呂から一人で廻しているのだろうか。聞くと今晩はレトルトカレーだそうだ。ま、それも止むをえまい。点呼、打ち合わせ、簡単な反省会のあと念のため生徒部屋の廊下を巡回するが、さすがに今晩は疲れたようで概ね静かな様子。あまり丹念に見て廻って藪蛇をつつくのはやめておこう。