Wは家にいる間中めそめそ「学校行きたくないな~」と涙ぐんで、すっかり持ち前の明るさが影をひそめてしまっている。それならもう休んでいいよ!と喉まで出かかるが、こんな初期の躓きで不登校になられても困るので、忍の一字で慰め励まし続けている。給食がプレッシャーになっているのが大きいのだが、それ以上にまだ学校の規律や集団生活全体になじめないのだろう。しきりと「おうちがいいなあ」と言っている。そんなに甘やかして育てているつもりもないのだが。

朝は子供たちは昨日焼いたホットケーキの残り、俺たちはトースト+味噌汁。泣きながら集団登校の列に加わるWを見て、見送りのママさんたちも心配そう。一時的なものだと思うんだが…。どちらかと言うと「優等生であらねばならない、相手の期待に応えねばならない」という意識の強いYの方がこの先ストレスを溜めて行かないか心配。既にA子には「Yねー、お友達に嫌なことを言われても言い返せれないの」と愚痴っているようだ。我々に吐露してくれているうちはまだ良いが、心中に抑え込むようになったら深刻さを増して行くようで怖い。

学校は相変わらず忙しく、生徒への声もつい尖りがち。年度末にあれほど反省し、優しく生徒に親しまれる教員であらねばならないと改めて誓ったはずなのに。授業時の規律をどこまで求めるか、楽しさ優先で返事や態度にこだわらなくてもよいのか、いまだに結論が出ない。と言うか頭でリラックスした授業を理想としても、俺の生理は規律を求めてやまないのだ。それを無視して続けられるほど俺の精神もまた太くはない。放課後、面談と総合授業の準備で今日も部活に行く頃には既に終わっている。

夕食はたらこスパゲティとポテトサラダ。A子が少しでもWに元気になってもらおうと、好きなものを用意したのだが、俺の作り方がたらこの量が多すぎたか「辛い」と言ってあまり食べず。相変わらずめそめそ涙ぐんでいる。祈は元気一杯、いつものごとく席を立ったりママにいたずらしたりで叱られている。食後に俺とA子で板チョコを取りだしたら瞬く間に傍に来て、「いのにもちょうだい~」と甘え声で懸命におねだり。結局ほとんど取られてしまった。