うっかり寝過ごし、子供たちとほぼ同時に起きる。騒々しいやり取りの中で身支度を整え、ラジオ体操に三人を連れていく。祈は上二人に比べれば一番きちんと体操しようという意欲が窺える。尤も内弁慶の奴はずっと俺べったりで、友達の傍へ去って行ってしまった姉二人を恨めしそうに見つめている。体操後、Yと二人で家の廻りをランニング。この時間はまだ涼しくて気持ちいい。朝食は味噌汁の残りと納豆に、もらいもののピーマンで作った野菜炒め。殆ど塩のみで味付けしたのだが、ピーマンが甘くて子供たちに好評。三人とバイバイタッチをして部活へ向かう。Yが俺のほっぺにキスしたのを見て、和子・祈も次々真似してくれる。

練習は体調不良で一人が欠席・一人が見学だが、その他にも肩やひざの痛みを訴える者が多い。毎日1万m近く泳いでいるのだから、どこかしら痛いところが出てきても不思議はないのだが、かといってこの時期練習を減らすわけにも、痛みが引くまで見学をさせているわけにもいかない。毎年のことだが、どこまで練習を強要するか悩まされる。2年を中心に、リカバリースイムをサボる者が多発。疲れているからだろうとある程度は許容してきたが、全体に蔓延してきたので一喝する。きちんとメニュー通りにこなした上で、どこが痛いからこの部分を減らすとか申告しろ、いい加減にこなしていては練習する意味自体がなくなるぞ!と。

今日も菓子パンで昼を乗り切り、午後は面談。昨日に比べ、保護者はともかく生徒に態度の悪い者が多い。特に女子の一部は普段厳しいことを言われている意趣返しとばかりに、ことさらに投げやりな態度をとって見せる。まるで「親の前でもあんなに高圧的に振る舞えるかやってみな」と挑発でもしているかのよう。別に投げやりな態度自体を叱っているわけではなく、ルールを守れなかったり嘘やごまかしをしようとした時に叱っているわけなので、不遜な態度は淡々とやり過ごし、しかし形式的に伝達事項のみで終えてしまう。逆に、問題を抱え相談に来る親子は時間を取られる、難しい問題だが解決に向け取り組んでいくことを約束する。

面談を終え帰ろうとして、昨日の17時過ぎに歯医者を予約していたことに今さらながら気づく。先日すっぽかしを厳重注意されたばかりなのに。もはやどの面下げて治療を受けられるかという心境、今回の治療は見送って、新たに別の歯医者を頼るしかないか。しかしこの歯医者、A子やお袋など我が家総出で世話になっているので、俺だけ不義理をするのは何とも心苦しい。帰るとA子はレッスン後三人を連れて近所の公園に遊びに行っているとのこと。迎えに歩いていくと、四つ角の向こうから猫じゃらしを抱えた和子が先に歩いてきて、俺を見つけて満面の笑みで駆け寄ってくる。後から祈・Yも歓声を上げて走ってきてくれた。俺は幸せ者だ。

先に風呂に入れ、ピアノ練習の後で夕食はカレーの残り、キュウリと春雨の酢の物を作る。2階があまりに暑いので、客間に食器を運びちゃぶ台で食事。この夏はここが昼・夕食のメイン会場となりそう。ちゃぶ台はごろんと横になれるのが良いが、食事中から子供たちが遊びだし席を外れやすいのが困りもの。歯磨きをさせ、寝室に移ってA子が持ち出してきたものは何と自作の紙芝居。それも、Yと和子のコンクール課題曲のイメージをお話に見立てたA子のオリジナルだ。子供たちの演奏テープに合わせて話すと、ちゃんと曲調の変化に応じて悲しい場面・ハッピーな場面に替わるところが芸が細かい。毎度のことながら、A子の子供に・そしてピアノに向ける情熱の高さには恐れ入る。でもその時間を家事には?と思わないでもないのだが…。