調査書や推薦書のピークを越えてちょっと余裕が出てきた先月下旬、映画化されて話題となった「悪人」を読んだのだが、何だか登場人物に共感できなくて全く感想を書かないままになっていた。主人公の車好き青年が、純情なんだか性欲むき出しの甘えん坊なんだか、献身的な奉仕者なんだか利己的な自己中なんだか分からない。はっ、だから「悪人」というタイトルで、この複雑な性格の人物を読者がいかようにも判断してくださいということか。それにしても出てくる者皆行動に説得力がないよ。峠に女を置き去りにした大学生、そんな簡単に釈放されないだろう。

朝、日記を書いているとA子が「祈が起きちゃった」と客間に連れてくる。布団の上に置いて日記を続けようとすると、ひーんひーん泣いてとても無視できない。赤ん坊の泣き声って、どうしてこんなに人をそわそわさせるのか。生物的生き残り戦略だと思うが、この能力が逆に親を追いつめ虐待につながることもあるのでは。登園準備を終えたA子が上手くあやしてまた寝かせつけてくれホッとする。ただ客間にそのまま寝かせてしまったので俺が「洗濯物を干す時起きちゃうけど」と言ったら、A子「大丈夫起きないよ」と自信たっぷりに言う。何言ってんだ窓を開けて冷気も入るしガタガタ音を立てればすぐに起きちゃうに決まっている…と思ったのだが、これが本当に起きなかった。へー、さすが母親だね。

仕事を終え定時に帰る。と言っても今日は自宅に向かうのでなくア○タ内のスタジオで先日撮った七五三の写真選定。A子と待ち合わせ、二人で吟味するがなかなか選ぶのに苦労する。データを丸ごと買えればいいのだが、そこは写真屋の商売、「商品としてお買いになった分のデータしかお渡しできません」とのこと。これだけ自宅再生・印刷の設備が普及してしまっている現状ではそれも当然か。だいたい一昨年の唯の写真の時は昔ながらの写真館で、出来上がったアルバムをもらっただけで選定だデータだなどという話は一切なかった。それがちょっと前まで普通だったのだ。技術の進歩とともに欲望も掻きたてられ、あきらめが悪くなる。

唯と和子は珍しく留守番だったのでゆっくり写真を選べた。唯は買ってもらった「アクアビーズ」とやらでなんだかアクセサリーを作るのに夢中、和子は降園後そのまま寝てしまったという。夕食の寄せ鍋の時に起きてきて、ぐずりもせずそのまま食卓につくから和子も成長したものだ。食後A子はまた唯のピアノレッスンに階下へ降りていき、俺は洗い物を終えて祈の相手をしながらしばし録画番組を鑑賞。このところ「どれみふぁワンダーランド」という音楽番組がお気に入りとなっている。宮川彬良という作曲家、ここまでコメディアンを演じられるかと驚嘆するほど芸達者だ。