せっかくの秋なのに、あんまりすっきりと晴れない日が続く。布団を干したいと思っているのだが、なかなか日光が降り注ぐような天気にならない。朝食は具材がいろいろ品切れなので、白菜と人参を中華スープで煮て、秘蔵のホタテ缶を開けてほぐし入れあんかけ風にする、窮余の一品。いつものごとくA子は旨い旨いと食べてくれるが、子供たちには不評。大体初めての食材は拒否反応が強いようだ。もうさすがにいちいち腹を立ててもいられないが、唯が俺に気を使って「ごめんね~一口は必ず食べるからね」などと言ってくれるのが、却って俺を傷つけているのだと、まだ分からないのだろうなあ…。

A子は合唱伴奏の仕事で一日不在。祈はF市実家に連れて行き義父母の世話になるということだが、唯と和子は俺が引き受ける。まずは子ども医院に連れて行って予約してあるインフルエンザの予防接種。予約時に和子の体調が思わしくなかったとかで、今日の接種は唯と俺。二人とも同じ3,500円だが俺は一回の注射で済み、子供は2回必要ででそれぞれ費用がかかるというのが(二回目は若干安くなるそうだが)何だか釈然としない。大体インフルエンザなんてかかっても熱を出して安静にしていれば治るのだから、予防接種なんて必要ないと思っている。ただ今は祈がまだ小さくうつると大事になるので、家族が協力して予防せねばと考えているのだ。

和子はついていっただけだが、俺と唯の注射されている姿を凝視して、「いたい?」と何だか嬉しそうに聞く。唯は「あ~嫌だなあ」と言っている割にはケロッとしていて、成長を感じさせる。帰って昼飯は餅を焼いて磯辺焼きと牛乳。慌ただしく準備を済ませ、午後からは幼稚園対抗のサッカー大会(場所はフットサル会場)に連れていかねば。和子がなかなか準備を進めることができず、つい声を荒げてしまう。和子に腹が立つというより、こうやって俺が悪戦苦闘しているのに、全く関知せずといった態度で自室に引きこもっているお袋に腹を立ててしまうのだ。ついに「ばあば、ちょっと和子のトイレ世話してやって!」と怒鳴ると初めて慌てたように「ハイハイ」と出てきてくれたが、もう少し自分から関わってくれないかなと切に願う。

結局会場にたどり着いた時には既に開会式が始まっていて、こっそり一番後ろの列に加わらせる。でもそんなきちんとした感じではなく、和気あいあいとしたいい意味での雑然さが、リラックスした雰囲気を伝えている。それでもゲームが始まると、いや親御さんたちの応援の熱いこと。どれも同じ幼稚園年長組だが上手いチームはあるもので、週1回練習しているというこの会場のクラブチームが圧勝で優勝、我が幼稚園チームは8チーム中6位だった。それでも3戦中1試合はボールさばきの上手いT君が活躍して大勝し、唯もセンターバック的な位置を何となく守って幾度か自陣に迫るボールを蹴り出すことで貢献していた。多くの子がやみくもにボールに集まってしまう中で唯のポジショニングは見ていて目立ち、お母さん方が「唯ちゃんいいところにいるよね」と評価してくれているのが聞こえてくる。いやあ、混戦の中に分け入ってボールを扱えるほど自信がないだけだと思うけど。

ゲームが終わり閉会式を待つ間、大活躍のT君がボールで遊んでいてネットの向こうに蹴りだしてしまい、隣接する民家の庭に入ってしまった。俺が会場を抜けてその家に向かい「すみませ~ん、ボール入ってしまったので取らせてください」と声をかけると、窓ががらっと空いて大変険しい顔をした若奥さん(?)が「止めてください!勝手に人の敷地内に立ち入らないでください」と突き放すように言う。「いやあのボール入っちゃって…」と口ごもると「分かってます、もうしょっちゅうのことで本当に迷惑しているんです、あきらめてください」と一方的に宣言されてしまった。仕方なく「すみませんでした~」と謝ってその場を去り、ママさんたちに報告すると、格好の噂ネタを提供したようで、「なんて家だ」と盛り上がっていた。でもこの狭いフットサル会場がすぐ横にできて毎週のように騒がれるのでは、うんざりする気持ちになるのも分かるなあ。