朝5時に起きて、部屋の窓を開けて廻る。熱っぽい室内に外の空気が流れ込んで、それがよりひんやりとした秋の空気を感じさせるようになった。それでも日中は相変わらず暑いがね。特に日没後の熱のこもりようは、真夏以上の厳しさを感じてしまう。子供時代から学生時代にかけて、エアコンなどないのが当たり前の生活を送っていたのに、今では頼りきっている。俺という人間の耐性が低下しているのか、地球規模での環境の変化か。たぶんその両方だろう。叉焼とタマネギの卵とじを作り、弁当用と朝食のおかずに兼用。

授業が始まる。雑用に追われて殆ど授業準備ができていなくても、過去の蓄積で何とかできてしまうのが却って問題だ。説明に使うべき単語が出てこなかったり、板書の字を間違えてしまったりする。しかし自分で言うのもなんだが、説明の分かりやすさは年を追うごとに向上していると思う。授業評価アンケートでは、どの集団でも「分かりやすい」「興味関心を持てた」は90%を超えて肯定されている。「授業に集中している」はすべての集団で100%だった。この学校の生徒が平素より素直で批判的でないこともあろうが、それにしても今年の評価内容は高かった。知識の深化というより、俺の場合落語の影響を受けて話術が向上していることが原因だろう。

放課後、補習を終え部活を見て、定時少し回った時刻に帰宅。和子が「お帰り~」と飛び出してきて、珍しいこともあるものだと思う。A子の話では、今日も幼稚園からの帰りに大層ぐずったのだという。ははあ、それでその照れ隠し+名誉挽回に積極的コミュニケーションを図ろうとしてるのだな。話によれば、集合場所で他のママさんたちと待っていたのだが、通常の時間になってもなかなか到着しない。いつもの時間を20分以上過ぎた頃、遠くから和子の「うぎゃー」という泣き声がかすかに聞こえてきて、それがだんだん近づいて集団下園の姿が見えてきたそうだ。廻りのママさんたちに「どうもすみません、遅らせてしまって」と頭を下げても、愛想笑いも浮かべてもらえなかった、とA子の弁。

多くのママさんたちは嫌悪感を抱いたわけでなく、班のボス的存在のk井さんが不機嫌なのでそれに従っていた感じだったとのこと。ママ友の間でもいじめや無視があるそうなので、協調性が低くて集団に迷惑をかけがちな子の母親は気苦労も多いのだという。A子は家ではものぐさだが、社交性の高さは俺の比ではないので、こういう派閥争い的な人間関係をとりまとめるのはとても上手だ。和子のわがままもおおむね好意的に受け入れられているようでありがたい。夕食は焼売と冷や奴、子供たちにタラのムニエル。唯は食事途中で珍しく沈没、和子は眠くてただただぐずるのみ。じっと忍耐の時間が続く。