やっと休みらしい休みだ~。この夏も両家からそれぞれ甥姪連中がやって来るので、彼らをもてなす下見で、唯・和子を連れて近所の川遊びに行こうと話がまとまる。たまには冷房の利いた部屋で朝食をとろうと、寝室にテーブルを持ち込んでパンと目玉焼き・カボチャスープ・その他いろいろの朝食。二人ともあまり食べない。特に和子は牛乳をコップからコップへ移す遊びをしたくて、コップをとり上げられて泣くなど、相変わらず我がまま全開だ。着替えさせたり、荷物を積み込んだりで大忙し、道が混みだす前にできるだけ早く出発しようと考えていたのだが、結局家を出ることができたのは9時半だった。もうこの時点で一日中の仕事をやり終えた様な疲労感だ。

近所を流れるA川を遡って、毎年行く川遊び施設に向かうと、受付の女の子が「今日は予約でいっぱいで…」と申し訳なさそうに言う。そう言えば俺たちも去年は予約してから行ったんだっけ。仕方なくもっと上流に向かい、駐車場のおじさんに教えてもらって道路わきに看板の出ていない穴場の川遊び場にたどり着く。狭い駐車場だがまだ数台しか停めていなく、川に降りてみても高校生十数人の男女グループが目立つくらいで、比較的空いている。桟敷席を借り、二人を着替えさせ、さっそく川遊び。初めは水が冷たくてとても入っていられないと思うほどだが、じきに慣れてくるのが不思議。でも唯は夢中になって遊ぶうちに唇を震わせるようになってきた。まだ遊びたがる唯を説得して一旦休憩。それにしても体型の違いか和子は寒がらず、何より去年と違って積極的に水遊びを楽しむ姿に成長を感じさせる。

桟敷席でやや早い昼食をとっていると、例の高校生グループから一人抜け出てきて「先生こんにちは」と挨拶する。遠目で良く分からなかったが、つい先日面談したうちのクラスのIだ。よく見るとメンバーのほとんどがうちの学校の生徒だ。どうもプライベートで高校生らしき集団を見ると、お互いの自由時間を干渉しないようにと気を働かせてあまりじろじろ見ないようにしているので、自分の受け持ち生徒であっても気付かないことが多い。このI、自分たちのバーベキューで焼いたソーセージと、自分で捕まえたこの川のアユ塩焼きを持ってきてくれた。その後は子供たちを連れて川遊びに戻ると、最前から気付いていたらしい女の子連中が寄ってきて「可愛いですね~」を連発する。それにしても今の高校生は、普通の地味な(と思われた)子たちでも、大胆に男女グループ交際するんだなあと、ちょっとうらやましい気持ち。A子にそう言うと、「それはあなたが縁遠かっただけで、昔からグループ交際ぐらいしてたわよ」だって、そりゃそうか。でも女子の多くはビキニの水着なんだよ、その辺の大胆さに時代を感じないわけにはいかない。

帰り際、連中にジュースの差し入れをして別れる。家に帰るともう何もしたくないほど疲れている。夕食は冷やしうどん、あり合わせの具に余っていた冷やし中華のたれを使用、まあまあの出来かと思ったのに子供たちはさっぱり食べず。相変わらず和子は我がまま放題で叱られ泣いている。いつまでこんな状態が続くのやら、と嘆いていたのだが、風呂に入って二人に「どっちが先に洗う?」と聞いたとき、いつも絶対に先を主張して大泣きになる和子が、「唯が先に返事したので唯からだね」と言うと「やったー、お風呂で遊んでいられる」と、これもまた唯の返事の受け売りなのだが、すんなり納得して順番を譲ってくれたのには驚かされた。思わず和子を抱き寄せて、「和子偉いぞ、そうやってどっちになっても楽しみを見つけられると泣かなくていいよね」と強く強く言い聞かせる。こうやって和子のこだわりが少しずつ解消されてくれれば、ずいぶんこちらのストレスも減らせるだろう。