和子はどうしちゃったのだろう。何をやるにもママを大声で呼び、それでいて自分の思い通りにならないと泣いて嫌がる。何とかこちらを煩わせようと一生懸命になっているみたいだ。今朝も着替えの時点で大もめ。A子の用意した服はどれもイヤと言い、「じゃあ自分で選んで」とその場を離れようとすると大泣き。結局、冬場に来ていくようなトレーナーを、どうしてもこれがいいと着ることになった。俺は近づいても「ママがいいの」と泣かれるだけなので、手助けにならない。よっぽど幼稚園のストレスが溜まっているのだろうか。いっそしばらく休ませても…って、やっぱりそういうわけにはいかないか。

さんざん苦労させてテーブルについても、なかなか食べようとしない。A子が祈の授乳を始めたのを見て「抱っこ、抱っこ」と要求する。一時は「パパ抱っこにする」と俺の方に来たこともあったが、ここ数日は本当にママべったりだ。A子の気苦労を思いながら出勤の時間となる。こんなにぐずっていても、「ヘイヘイやる~」と、タッチだけはやりたがる。家を出ると自然に大きなため息をつくようになってしまっているなあ。

成績処理、一覧表の不具合がいろいろ見つかって手直しに時間がかかる。今日も帰宅は19時を回ってしまう。家では眠くなったという唯を先に風呂に入れている最中、A子が「和子に桃を剥いてあげて」と言うので2階に上がり、テーブルで何やら食器で遊んでいた和子に「じゃあ桃あげるね」と言うと、とたんに手を伸ばして俺を制し、「ママがやるからいいの」と言う。「ママがパパに頼んだんだよ」と言っても、「頼んでないよ」と受け付けない。「分かったよ」と席を立った時、急に怒りがこみ上げて来て、そばにあった祈のベビー席(もちろん無人だったが)を蹴り倒してしまった。

急いで上がってきたA子が気配を察して和子に「パパに謝っておいで」と言い聞かせ、和子はおずおずと「パパさっきはごめんね~」と言うけれど、素直に受け入れる心境になれない。「和子はパパが嫌いなの?」と聞くと「う~ん…」と消極的肯定。そりゃ3歳児と同じレベルで怒ってりゃ好きにはなれないわな。俺もなんでこんなに辛抱がきかないか、我ながら情けなくなってくる。結局A子に促されて桃の皮を剥き、子供たちに振る舞う。和子は「美味しいね」と言ってくれ、何だか母子に一生懸命気を遣ってもらっているようで情けなくなる。元はと言えば和子のわがままが原因なのに。