唯は週二回給食の日があるが、和子は1学期の間はずっとお弁当。そのためA子は平日は休むことなく早起きが続いていて、すっかり俺より早起きになった。あの低血圧の、放っておけばいつまでも寝ていたA子が、4時過ぎにはもう起き出して準備をしているんだから、『母は強し』と実感せざるを得ない。遅れて起きて、洗濯と朝食用意。と言っても納豆・昨日のポテサラ残り・味噌汁だけだが。唯も和子も昨夜寝かせつけに苦戦した割には早く起きる。まあ起こすのに苦労するよりはいい。
学校は朝から文化祭の片づけ。HR展で使った、廊下側の窓から入るための階段は、クラスのリーダー的女子Isの父が作ってくれたものだと知る。職業が大工だとはいえ、娘のクラス展のためにこれだけ立派なものを作って寄付してくれるなんてありがたい。ところが土曜の一般公開が終わった後で、この階段の処分を巡ってちょっと揉めたそうだ。生徒会としては引き取れないから処分してくれと言い、俺の留守を任された副担としては「せっかく保護者が作ってくれたものだから…」と終わってすぐ捨てるのにためらいを見せて、結局週明けに俺の判断を仰ごう(と言うのも偉そうだが)となっていたらしい。
判断も何も、これだけ立派な階段を「邪魔だから捨てる」なんて勿体ない、来年度以降もクラス展で必要とされるに決まっている。Isにはお父上によくお礼を伝えるよう言い渡し、男子生徒数人の手を借りて5階の社会科準備室に運び込む。広い学校の中、スペースなんていくらでもあるものだ。片付けを終えて授業に入るが、祭りのあとの虚脱感と言おうか、生徒は目だけは何とか開けているものの反応が薄い。LHRで待望の席替えをやった時だけは大いに盛り上がった。
部活を見て帰宅したのは19時ごろ。唯和子は先に風呂を終えて夕食中。昨日と同じ方式で早めに寝かそうという算段だが、今日もまた和子が多いにぐずり我がままを言うわりに寝室へ行こうとしない。「ママ、ママ」と泣いて後をついて廻っている。一緒に寝室へ行ったら行ったで「ママの隣」のポジションをめぐって唯とケンカ。こんな内紛を抱えながら、祈も含め三人を従えて寝るなんて、ベッドを二つ繋げて広くしてあるとはいえ俺には到底できない。それでいて最近は俺より早く起きるのだから、ますますA子に頭が上がらなくなる。