祈は目が合うとよく笑うようになった。「赤ん坊の笑顔ほど純粋な笑いはない」と言ったのは中島らもだったか。確かに媚びも蔑みもない、純粋な嬉しさの表現だろう。しかしその笑顔がしばしば直後に泣き顔に変化、大泣きへと移行するのはどういう心境なのか。今朝も明け前から泣きだし、A子は苦労している様子。俺は今日は出勤日なので、洗濯を済ませ一人身支度を整える。子供たちはまだ深い眠りの中。
 
牛丼の朝食をとって出勤。クラスは全員揃う。つくづく三年になって学校への意識が高まったと思う。授業を終え、テスト問題をどうにか1種類作り上げる。あと2種類、水曜までに仕上げなければならない。午後はPTA総会・学年の進路説明会のあと、残ってくれた保護者を相手にクラス懇談会。14名も来てくれた、と言っても他クラスはもっと多く、さすがに特進は半数以上が集まって熱心に進路情報を得ようと担任の話に聞き入っている。俺も簡単なレジュメを用意し、クラスの様子や今後の進路指導日程などを説明。二人ばかり個別の面談を済ませて職員室へ戻ると、廊下には面談を待つ他クラスの保護者の列。お待たせして悪いなあとも思うが、こればかりは俺が代わりに面談するわけにもいかない。
 
定時に帰り、子供たちの歓迎を受ける。今日は一日家で過ごしたらしく、唯も和子も元気が有り余っている。夕食はベーコンとほうれん草炒め、カボチャ煮つけ。やっぱりアルコールが欲しくなり、発泡酒を二本飲んでしまう。最近は尿酸値の薬も切らしたままになってしまっていて、また痛風が出やしないかと心配している。だったらもう少しアルコール摂取を控えればいいのだが・・・。陽気のせいにしたいところだが、今年はどういうわけかいつまで経っても肌寒い。テスト前でも県を目指すIfだけは練習をさせているのだが、もっぱら地元の温水プールばかり使っている。
 
風呂の前に久々に体重を量る。唯は15㎏、和子は13kg弱といったところ。俺は相変わらず72㎏前後。70を超えた時にはすぐに戻せると思っていたのだが、そのままの体重で結局10年を超えるに至る。久々に会う旧知の人は皆一様に目を見張って俺の変容ぶりに驚くありさまだ。昔は自分の太った姿なんて、まったく想像もできなかったものだ。シンケンジャーの若くスレンダーな青年たちを見て、自分の同じころをいろいろ振り返る日々だ。決してあの頃に戻りたいなんてセンチな気持ちになるわけでなく、今が幸せなことは言うまでもないのだが。