夜中の2時に陣痛が始まったとA子が訴え、車を飛ばしてI産院へ。そのまま入院して痛みの強まるのを待ち、夜が明けて7時ごろに分娩室に入って行ったと思ったら、割とあっさり出産を果たした。午前7時24分、体重2570kgの女の子だ。ありがとうA子、ゆっくり休んでくれ。急いで学校に向かい1時間目の授業と教務の仕事をこなし、午前中のうちに帰宅。新生児誕生は3日間の特別休暇がもらえるんだった。少なくとももう1回、A子の退院の時に使わせてもらおう。

名前は主にA子の意見をとって「祈(いのり)」とする。ちょっと宗教がかった名前かなとも思ったが、たとえ特定の宗教に対する信仰心がなくても、人智を超えた自然の存在に感謝と畏怖を持ち続け、これからも変わらぬ恵みをこの子の時代にも与えてください、と祈る気持ちは偽らざる深いものだ。今回も子供に対して「こうなってほしい」という願いよりも、俺たちの思いそのものを子供につけた。これからこのブログは唯和祈の三姉妹となる。

家に帰って和子を乗せ、唯を園まで迎えに行って三人でA子と赤ちゃんのお見舞いに行く。病室で一緒になった親父たちに和子を預け、俺と唯はピアノレッスンへ。レッスンの間は思わずソファで眠ってしまう。何せ昨夜は殆ど寝てないからね。帰ってお袋が買っておいてくれた持ち帰り寿司とコロッケで夕食。ママがいないと二人とも聞きわけが良くなり食事もスムーズだ。

ただ風呂を終えて寝る段になると、真っ暗にした部屋の中で和子がしきりと「ママがいないよー、ママに会いたいよー」と誰に言うともなく声を出し続ける。「もう唯が眠いから静かにしようね」と言っても、ちょっと声をひそめるだけで止めようとしない。あきらめて俺だけベッドから抜け出し、しばらくして戻ってみると、二人とも大人しく寝ていた。もう添い寝は必要ないのかもしれない、少なくとも男親である俺の必要性は低い。