朝5時半に、トイレに行こうと枕元においた眼鏡に手を伸ばすと、そのカタッという音を聞いて唯が「パパ?!」と声を上げる。どうやらずっと目が覚めていて、誰か起きてくれるのを待ちわびていた様子だ。当然その後は普段どおり騒ぎ出し、たちまちA子も和子も目覚めてしまう。いつもの寝起きの悪さはどこへやらだ。よっぽどこの旅行を楽しんでいるのだろうと思うとこちらも嬉しくなるが。6時半まで何とか室内で過ごし、バイキングレストランへ。興奮している二人は、俺たちが食べ物を皿にとって持ってくるだけで「わあ、またご馳走が来たよ!」と大興奮だ。その割に遊び食べになってしまってあまり食べなかったが。

朝はかなり激しく雪が降っていて今日一日の行動が思いやられたが、次第にみぞれっぽい雨になってそれも止んできた。弟が10時前にホテルまで迎えに来てくれ、今日一日のガイドを任せる。唯と和子は車が動き出すとたちまち寝入ってしまう。道の駅にある無料の足湯場で、俺とA子は交代で子供たちの番をしながら湯に足を浸す。姪っ子のSは午前中体操教室に通っているので、その間「けやきホール」という市の子供施設で遊んで過ごす。ボールを敷き詰めたプールや大きな滑り台や、天井近くに吊り下げられたネットなど、子供たちが体を使って遊べる工夫がいっぱい。室内でこれだけ遊べる公共施設はあまりないのでは。この辺りの親子には重宝する場所だろう。ただ、中学生ぐらいの男女グループが5~6人で鬼ごっこのような遊びをしていて、幼児にぶつからないか気になった。

姪っ子のSとその母のAS子さんを迎え、10人揃って蔵王へ向かう。途中ドライブインで昼食をとり、次第に標高を上げていくうちに、青空の広がっていた天候はまた雪がちらつきだし、周囲に景色も白一色に変化していく。こんな道、たとえスタッドレスを履いていても俺にはとても運転できないなあ。営業でほぼ毎日この県内を100km以上移動するという弟にとっては軽いものだそうだが。ホテルに着き、スキーウエアに着替えて近くの坂道でそり遊び。怖がるかと思ったが唯も和子も喜んで滑っている。和子は俺と一緒にだが、唯は一人で滑って、橇を持ってまた坂を登ってくるからたくましい。ただ和子は橇よりも裏の駐車場を雪かきしているブルドーザーの存在が気になるらしく「トラック怖い、こっちこない?」とそればかり口にしていた。

初めての雪遊びにこれほど果敢に取り組めたのも、やはり一緒に遊んでくれた従兄弟のS・Jの存在が大きい。全身雪まみれになっても一緒に大笑いしている。こんな大らかさがそのまま育ってくれるといい。夕食はホテルの宴会場で、地元産品を中心にした料理がずらっと並ぶ。特産という「もってのほか」というのがなんだか分からなかったが、菊の花の胡桃和えらしい。酒は控えめにして、弟夫婦と俺の三人でビール1本だけにしておく。このあと二人を風呂に連れて行かねばならないからね。食後に大浴場に連れて行くと、ちょうど間がよく誰もいない貸し切り状態。思わず浴槽で泳いでしまい、唯はまたも大喜び、背中に乗ってくる。そのまま露天風呂の方へ行くと、ベランダのような作りになっていて浴槽のふちからそのまま外へ湯があふれている。唯が「わー気持ちいい」と縁に身を伸ばしたとき、そのまま湯と一緒に下へ落ちてしまいそうな気がして大いにあせった。

風呂上り、従兄弟の二人もやってきていつまでも遊んでいる。21時を回ってやっと各部屋へ連れ戻し、布団に入ることができた。昼に車中でちょっと寝たとはいえ、二人とも一日体を使ってめい一杯遊んだ割には元気が続いている。暗くしても唯は「しりとりしよう」とあくまで一日を終わらせたくないらしい。しりとりを4人で(そういえば最近は和子もきちんとしりとりができるようになり、なおかつ人の答える番にも「○○にしなよ」とアドバイスするようになった)5~6巡くらいしただろうか。最初に眠気で反応できなくなってしまったのは、多分俺だと思う。