和子の熱は下がったようだが、二人とも俺に似てしまったのか咳をよくする。癖になってしまいそうで心配だ。朝は昨日の残りと唯のリクエストで目玉焼き。油を引かずに焼いたらフライ返しに引っ付いてしまい、皿に移すのに苦労した。洗濯の最中にアラームが鳴ったので、排水口の詰まりかと思い運転中に排水口を開けたら、当たり前だが水があふれ出てきて脱衣所中水浸しになってしまった。忙しい中何をやってんだと自分に毒づきながら水を拭き取る。急いで食事を済ませ、入れ代わりにテーブルについた二人とタッチして出勤。

学校では授業が始まった。今年は久しぶりに世界史Aを担当するので、授業準備に時間がかかりそう。受験対応科目をそれなりの目的意識を持った生徒に教えることより、より平易な内容を興味関心の薄い生徒に教えていく方が、よっぽど難しいし興味を引き出す工夫が必要だ。しかしやりなれたものばかり繰り返すより、専門家として自らの技能を鍛える良い機会と思わねばならないな。

部活が自主練の日なので早く帰ってやりたいと思い、しかし今日は管理当番なので定時を越えた時点で早く見回ろうと17時半に校内放送を入れると、教務課長から「早すぎるよ、4月からは夏時間で6時15分が生徒下校時間だから」と注意されてしまった。俺も子供がいない時代は何時間も居残りしていて当たり前で、定時にとっとと帰る同僚を軽蔑すらしていた方だが、今や隙あらば早上がりを目指す始末だ。仕事に手を抜いているわけではないから後ろめたくはないが、無駄に長く残っている連中から見下されるような目で見られるのが癪だ。ま、俺の考えすぎなのだろうが。

帰ると子供たちは食事前に風呂を済ませて上がるところ。A子の用意した食材で焼きそばを作る。もう米が切れてしまっていて、手首の痛いA子が運べないのでご飯は俺が買い物できる時まで待たねばならない。でも子供たちは麺類の方が喜んで食べる。和子がわざとフォークやスプーンを落として俺たちの反応を窺ういたずらをやめない。怒らず無視していると「フォーク君はどこへ行ったかな?」なんて呟いている。徹底的に無視したいところだが、唯が「おーい、フォークくーん!」と和子の誘いに乗ってしまうのが残念だ。