眠いのを堪えて布団を抜け出し、台所で立って味噌汁ぶっ掛けご飯で朝食を済ませ、和子の誕生日メッセージをテーブルに残し、母子を起こさぬように家を出る。今日は新水泳場で日本選手権を控えてのリハーサル大会。我々弱小部に参加の打診が来ただけでもありがたい。これもH高のI先生の人徳だ。学校で一人、途中でもうひとりを乗せて会場へ。着くと誰かが「先生~」と駆け寄ってくる。誰だっけと思いよく見ると、もう一人の部員にしてS先生のご令嬢Aだった。シーズンオフの間はずっとスイミングで活動していて顔を合わせないので、一瞬分からなかった。

新会場はスタンドと本部席の連絡経路がよく分からない。色々まごついてしまう。おまけに急に割り振られた役職は招集係の主任だし、日水連から招聘した理事の方は運営の細部にわたってとてつもなく細かく注意するし(そりゃ選手権のリハーサルだから当然なのだが)、めい一杯気疲れしてしまう。もう一人臨時に市立のN先生が補佐に廻ってくれて何とか役割を全うする事ができた。わが部員の記録は平凡なもの。スイミングで泳ぎこんでいるAだけが颯爽としているが、後は練習不足が露呈された幹事だ。シーズンインまで頑張らせねばと嫌でも思ってしまう。

家に帰って和子の誕生パーティーの支度。と言っても冷凍のピザを焼き、実家からもらい物のサラダを並べる程度だが。前回の唯の誕生日に眠すぎて大荒れとなったことを反省して、今回は昼寝を充分させておいたらしく、二人とも絶好調。食事もケーキもよく食べる。ただ、唯と違ってプレゼントをもらってもまだ何のことかよく分からないのか、それほど嬉しそうな顔をしなかったのが残念というか、期待はずれ。プレゼントをもらった時に嬉しそうな顔をする、という言わばお約束の反応も、相手に気を使うという学習によって定着するものなのだろう。俺からはパンダコパンダのDVD、A子からはみみりんの水筒。