昨日早く寝付いたせいか、5時前に目覚める。今日は部活や補習の予定を排除し、一日完全オフに空けてある。県の美術館で行なわれている鑑真和上展を見学し、その特別講演会(唐招提寺長老の松浦俊海氏による)を聞きに行くのだ。半月ほど前にこの計画をA子に話したら、ぜひ私も行きたいと言ったので、子供達は悪いがじじばばに面倒見てもらって、超久しぶりに二人でデートを兼ねての研修と相成った。彼女も育児で悩まされている日が続いており、いい気分転換になってくれたらと思う。

地元のラジオ体操に唯と参加、朝食(コーンフレークとパン、南瓜スープ・・・コーンフレークは意外と二人に不評だった)を食べた後に唯を公園に遊びに連れ出す。まだ日差しの弱い朝の内に、唯をできるだけ運動させてよく昼寝をするように仕向けておくのだ。じじばばの負担が減るようにとせめてもの配慮。いざ二人で出かけるという時に、愚図るかなと思ったが平然と「行ってらっしゃい」と送り出してくれる。A子の話だと、いつも幼稚園で別れる時もそうで、その場での聞き分けは大変良いが、帰ってきてから大いに甘えられ、愚図られるのだという。してみると今日は昼寝もたっぷりするだろうし、寝かせつけにかなり手こずる事になりそうだ。

車で順調に移動し、混んでいるかと思われた駐車場も問題なく停められた。中は結構混んできたが、まだ午前中でもあり見学し辛いというほどではない。国宝の和上坐像は初めて実物を見たが、後頭部から首にかけての皺まで実にリアルで、師の情熱が静かな佇まいから立ち上っているようだ。四天王像も、国内の仏師によるものと唐からの技工士が中心となって作成したものとがそれぞれ展示されていたが、一番違いを感じたのは足に踏まれている邪鬼の形状だ。国内のものは何だか抽象的な台座に変形してしまっているのに対し、唐からのものは邪鬼が実にリアルで元気よく、増長天たちも踏みがいがあると思わせる。

昼飯を食べる前に隣接する大学の講演会場をチェックしておこうと寄ったのが正解、1時間以上前だというのに既に大混雑で席を確保するのがやっと。自販機の飲み物で我慢しようと買って戻ると、受付に義兄のM行さんがいて互いに驚く。今日のイベント協賛責任者としてメインスポンサーの補佐にやってきたのだと。話しているうちに本社のお偉いさんが来たので身を引いたのだが、M行さん全然かまわずに俺を紹介までしてくれて恐縮する。

二階席まで含めて超満員、ついには通路まで開放してぎっしり詰め込まれた中で講演始まる。事前に渡されたレジュメどおりの内容で、特に目新しい話もなかったが、なんと言うか非常に穏やかな、α派の出ている様な声で、つい眠りを誘われる。講演を終えて外に出ると中に入れなかった人が何十人も二部からでも参加しようと入り口で待ち構えている。俺たちが帰ろうとすると、講師の俊海和尚がわざわざ外に出て話を聞けなかった人々にじかに詫び、講演のエッセンスを語っている。この配慮・人徳が周囲をして高僧と言わしめているのだろう。

帰り道沿いのうどん屋で手早く食事を済ませ、急いで帰宅する。幸い二人とも良い子で過ごせたようで一安心。また来週も一度、じじばばの世話にならねばならないので今日が無事でよかった。夕食は持ち帰り寿司と今朝の味噌汁の残り。恐れていた通り二人とも睡眠バッチリでなかなか眠くならず、終いにはこちらが横でこっくりし始めてしまう。でも親の都合の為に一日我慢を強いたので、多少のワガママは聞いてやらねばね。