和子の夜泣きが激しく、「唯が起きてしまうから」と途方に暮れたA子が深夜に俺の寝室まで連れてくる。正直とってもつらい、が一人で毎夜なだめているA子の辛さを思えば俺だけのうのうと寝ているわけにもいかない。それにしても何をそんなに泣くことがあるのだろう。背中をさすってなだめてもなかなか止まないが、多少は落ち着いてきたところをまたA子が引き取って行った。「子育てで一番辛いのは寝れないこと」とはA子のママ友のセリフだが、真実を突いていると実感してしまう。

それでも朝には起きなければ、ゴミ捨て・洗濯・朝食作りを遂行できない。ボーっとする頭で一つ一つこなしていく。晴れた朝だとゴミ捨てや洗濯物干しは気分よくでき、むしろ頭が冴えてくる感じだ。朝飯は昨日のうどんや惣菜の残りがあるし、いい加減に済ませてしまう。

県出場の望みがなくなった男子部員が全員で部室掃除をしている。全ての備品を外に出して、かなり本格的な取り組みだ。彼らなりのけじめのつけ方なのかと、ちょっと寂しくなる。県大会の応援は結局副顧問の都合がつかず前泊はあきらめ、当日の朝に連れてきてもらう事になった。本当は選手たちと一緒に泊まりたかったことだろう。しかし大会前の夜にあまり盛り上がって騒がれても困るし、大会が終わったらすぐ期末テストでもあるのだ。

帰ると子供達は既に寝かせ中であった。任務を終えてきたA子と夕食。笹かまぼことカニもどきサラダのシンプルな内容。日本酒を2合ほどもらう。唯の定期健診が近いとかで、問診表の回答欄をA子が一生懸命に埋めている。「子育てに悩みはありませんか」「虐待と思える行為をしていませんか」「母親間の付き合いにトラブルを感じませんか」など、悩ましい項目が続いてペンも止まりがちだ。いや実際虐待など毛ほども行なっていないのだが、真面目なA子はすぐに「あの言い方は唯を傷つけてしまったのでは」などいちいち気にしてしまうのだから世話が焼ける。