いつも和子に手を上げて怒られている唯だが、和子も唯のやっていることが気になって仕方ないらしく、毎度懲りずに遊んでいるところへハイハイで突進していく。その度カードや人形を奪い取ったり撒き散らしたりするので、唯が怒る気持ちも充分に分かるのだ。むしろ3回に2回くらいはじっと我慢して向きを変えたり避難したりしてしのいでいる様子が伺える。やはり姉妹の存在はどんな親のしつけより教育力があるなあと実感する次第だ。

朝は俺は冷やご飯の茶漬け、母子用に納豆とホウレン草ソテー・魚肉ウインナー盛りを用意。味噌汁は昨日の残り。弁当はやめて外食にするのは時間があるからいいのだが、てきめんに体重が増えてしまうのが困り物だ。母子起きて来ず、「仲良く遊んでね」の絵手紙を残し出勤。

頭髪違反のNが綺麗に直して登校してきた。彼女もそれをアピールしたいらしく、自分から別の用件を作って話しかけてくるのが可愛い。すぐに気づいて褒めてやる。普段からの彼女に対する俺の態度が「ひいき」だという指摘が他の女子から上がった事があったが、確かに普通の生徒が守っていて当たり前のことをことさらに褒め称えるのはフェアとは言えないかもしれない。しかし個性と同様、人は頑張れる範囲や対象も違うのだと、しかし克服しようとする姿勢は常に賞揚すべきなのだと分かってもらいたいものだ。

帰ると駐車場で母子が出迎えてくれた。唯を肩車すると以前ほど嫌がらなく、喜んで乗っている。高さに対する恐怖心が薄れてきたか。夕食はヅケ丼と手羽先焼き。奥さん同士の話で、旦那の非協力や無理解が常に話題になるらしく、A子はアパート内の愚痴を仕入れてきては俺に事細かに教えてくれる。面白がって聞く俺も、彼女たちの不満に賛意を示す頷きが自分の首を絞めることにつながると気づいてはいるのだ。それにしても、その井戸端会議の席でA子はただ一方的に聞き役だけという事でもないだろうし、俺に対する愚痴をどのように開陳しているのか、それに関する情報だけは閉ざされている。