今日は離任式。アパートで身支度を整え学校へ向かうと、昇降口に張り出された新クラスの名表の前に生徒達が鈴なりになって騒いでいる。まだ担任は発表されていないので、うちのクラスの生徒達はほぼ俺が引き続き受け持つと思っているのだろう。大人しくて手のかからないクラスだったが、深い交流ができたという感触は薄かった。それでももう一年かけてよい関係に育てていこうと思っていたんだけどね。

式典そのものは毎年代わり映えなしだが、壇上で話す先生方の思いはそれぞれ深いものがあるだろう。一人若い講師がくすくす笑いながら話をして、それが生徒達に受けていて得意そうだったのが不快に感じた。別にすべて大真面目に感慨を語れというわけではないが、基本的なスピーチのマナーというものはあるはずだ。転任者に許された壇上演説という特権も、生徒に礼儀を強制する式典の中で行っているという責任感の自覚が必要なのだが。

職員室内の机の大移動、パソコンのケーブルが絡み合ってなかなか難渋する。勘のいい生徒はこの机の並びで、誰が何クラスの担任かおよその見当をつけてしまうだろう。といって始業式にはどうせわかるもの、別にひた隠しにすることもない。送別会のバス点呼係(いつも頼まれる)なので早目にアパートに戻り、シャツを柄物に着替えて出かける。毎回会場で気づき反省するのだが、送別会は殆ど皆スーツ姿で、ラフな格好は殆どいない。俺はもう20年近く教員をやっているのに、未だこんなTPOをわきまえられないのが情けない。堅苦しい格好が嫌いだからと半ば確信犯なのだが、若い講師のスピーチをどうこう言えた立場じゃないね。

転退職者に縁の深い同僚がそれぞれプレゼントを用意して渡す。俺は「アンテナ低い同士」とN尾氏にレッテルを張られた関係で、大学に単身赴任で内留するS藤先生に、「週末子供と遊んで下さい」とバドミントンセット。ちょっとひねりが足りなかったか。「アンテナ贈ればよかったのに」とはT田主任の弁。今日はペース配分を慎重にして、酔いが回ってしまわないように気をつけたのだが、いかんせん毎晩赤ん坊との添い寝で睡眠が足りず、途中何度もこっくりしてしまった。それでも最後の三次会まで付き合って、S木監督ともじっくり話して別れを惜しむことができた。タクシーで部屋に着いたのは3時過ぎ。やれやれ、A子がアパートにいなくて良かった。