6時半と遅めに起床。昨夜のワインが残っているわけではないが、最近どうも寝過ごすようになっている。俺はご飯と納豆、唯とA子はパンの朝食。シャケを焼いて弁当を詰める。シャケの海苔弁は何度続いても飽きることがない。おまけに実家から旨い梅干と生姜漬けをもらったので、それらを付け合せれば言うことのない弁当だ。

空き時間の多い水曜、授業の予習を進める。授業自体はとても上手く話し通すことが出来て満足。最近、授業の成否を自分の口跡の良しあしで判断していることに気づく。ま、内容はこれまでに何度もやったことのあるものだし、いかにテンポ良く退屈させない話が出来たかで自身を評価するのも良いだろう。

雑務を終えて放課後すっかり暗くなった昇降口を出ようとすると、何やら不審者がウロウロしている。問い質すと卒業生だと言うが、事務も既に閉まっており職員室にも来た形跡がない。よく見るとこの男は以前に何回か同じような状況で注意したことのある奴だった。「きちんとした時間に来ないと不審者として通報するよ」と言ったら「ご勝手に」だと。オタク風の大人しい奴ではあるが、事務にも言って何らかの対策を立てねばならないだろう。

家に帰ってA子手製のマグロ漬け丼、ナメコ汁。マグロの漁獲割り当てが減って来年から高騰する見通しだと言う。クジラに続いてマグロもかと呟くと、A子は「クジラは別に惜しくないでしょ」と言う。そりゃ俺達の幼い頃食べてきたクジラは旨いものじゃなかったが、食文化が衰退するという意味では単に味の良し悪しで片付けられない面を持っているのではないか。唯は俺の晩酌を欲しがって泣く。こればかりはあげる訳にはいかないし、許せよ。