6時半に起床、唯の世話と朝食の準備をテキパキと進める。今日は約2年ぶりに夫婦で映画を見るので、朝の空いている内に俺の実家に唯を預けた上で、第1回の上映に間に合うように行こうという計画。こないだの加古隆コンサートに続いての子供をお任せしたデートだが、出産から一年近くなってやっとできるようになった贅沢と実家に甘えさせてもらおう。唯の離乳食のカボチャを煮て、我々の朝食はかけそばに菜の花をあしらう。着替えを済ませて7時半に出発。

見たい映画は二つ候補があったのだが、「有頂天ホテル」はまだまだロングランが続くというカウンターの説明を受けて、上映期間の終了間近という「博士の愛した数式」にする。俺は原作を読んでいるのだが、それでもあの博士のキャラクターを寺尾聡がどう演じるかは興味深い所だ。幸い席も空いていて、ゆったりと見ることができる。

・・・見終えた感想は、ありがちだが原作をスケッチとすると映画はイメージしていた色彩とはかなり違う仕上がりの油絵といったところ。特に原作でも鍵となったオイラーの公式を、映画ではこれこそが「博士の愛した数式」だと成人になったルートが特定し、なお且つ博士が義姉に当てたラブレターに「eのπi乗=-1」の公式をあらかじめ登場させた上で「道ならぬ愛をなしてしまった我々は二人で永遠の-1を抱えていこう」なんて説明を入れ、それを踏まえて例のルートをかばう場面で「私は過去を乗り越えてありのままに生きる」と博士に宣言させ「eのπi乗+1=0」と書かせるのだ。これでは読者の自由な推測に委ねられていた公式の解釈を、かなり陳腐な形で一方的に種明かしされた気分になってしまう。

それでも久々の映画は楽しめたし、寺尾聡や深津絵里の演技は充分満足いくものだった。子役と成人(吉岡なんとか)のルート役は驚くほどそっくりだった。昼飯は、唯が生まれる前まで行きつけにしていた伝馬町の寿司屋「い○半」で、カウンターに座り高級お任せコースを堪能する。二代目の大将が「是非お子さん連れでもかまわず来てください」と言ってくれたので、今度は小上がりでやはり昼頃に来て親子で楽しもう。実家でお袋の作ってくれた焼きそばを土産にもらって帰る。これで晩飯も用意せずに済んでラッキー。今日は何から何まで親の世話になり、ありがたかった。今度またご馳走するからね。