夜通し唯の泣き声に悩まされ、ちゃんと眠った気がしない。気づいたらもう6時40分になっている。ご飯はタイマーで炊けているが食べる暇がない。ゴミ出しと唯の世話だけして、A子が大急ぎで作ってくれた弁当を持って出勤。今日は細かな雨が降っている。

昨日無断欠席した1年部員を全員8時に来るよう呼んであるので遅刻はできない。何とか俺のほうが早くついて、着替えを済ませて待っていると、神妙な顔をしてぞろぞろやって来る。外の階段踊り場に出して昨日の理由を質すと、やはり情報の発表に備えた準備だったと言う。それならなぜ連絡しないのかと聞くと、一人は部長に言ったというが後の者は黙ったっきり。「うんこが出そうになってもトイレに行けずに洩らしてしまう奴と同じだ」と言っても、感情のない目で見返すばかり。「俺はやる気のない奴に無理強いするつもりはない、お前たち本当に部活続けたいの?」と言ってもなお反応がないので、「そう、じゃサヨナラ」と言い捨てて去る。俺の中ではこれで6人まとめて退部したのと同じ扱いとなった。

欠席を続けるM女子とは電話で話すことができた。今後について父親と話しあっているところだと言う。まあ残るにしても進級は難しいが、留年してまで学校を続けるという覚悟はできないのではないか。他にも通信制に移りたいと教育相談担当の先生に相談している生徒がおり、今後の対応についてその先生と相談する。やめさせたくない気持ちは山々だが、結局俺には生徒の決心を覆すだけの力もないし、覆してこの学校での生活を続けさせるのが本当に最良なのか確信も持てない。これだけ経験を経てなお、自分の無力を思い知るばかりだ。

本当はテスト前の最後のスイミング練習の日だったが、部長達も1年連中と話がしたいらしく練習中止を申し出てくる。彼女達にしてみれば連中に注意くらいはしてもらいたかっただろうが、全員やめることになるとは思っても見なかった事だろう。ただ「今後は2名で練習していく覚悟はしておけ」と告げる。それが不満でこの2名も去っていくことになっても、それは仕方ない。

予定外に早く帰ったのでA子も怪訝そう。豚肉と人参・椎茸で肉野菜炒めを作る。ちょっと豆板醤を利かせ過ぎて辛くなってしまった。唯は風呂から上がって寝る段になっても元気一杯で、A子を手こずらせる。毎夜寝付くまでに手がかかり、寝た後も夜泣きが激しいと、A子にとって消耗感の強い夜が続くことと思う。まして俺のイビキがひどい夜は本当に申し訳ないと感じる。