ゆったりと起きて唯と遊ぶ。我々の朝食はそうめん。手抜きでだらけた朝もいいもんだ。最近の唯は何か面白いことがあると、必ず俺やA子の方を向いてから笑う。また何かにぶつかって痛い思いをしたときも、俺やA子の姿を探してから泣き出す。本能のままに生きてきた段階から、対人関係を意識した行動を取るまでに進化しているのがよく分かる。

昼までエアコンや加湿器のフィルターの洗浄をしたり布団を干して部屋の掃除を簡単にしたり、とても大掃除とはいえないが何となく新年に備えた整理整頓をして過ごす。昼過ぎからA子実家へ。義父姉が来ていて唯を見たがっているので挨拶がてら顔を出す。対人関係に目覚めた唯は周囲の大人に積極的に愛想を振り撒く。元々大勢の人がいると喜びやすくなる性質だったが、もうこれははっきりと「営業用」スマイルと言っていいだろう。そしてこの唯スマイルに、大の大人たちが皆面白いように踊らされるのだ。ため息をつかんばかりの「可愛いねえ」の賞賛を浴び続け、更に大人ころがしに磨きをかけていく唯。何だか行く末が恐ろしい。

実家に唯を預けて俺は謹慎生徒の家庭訪問。家が分からなくてぐるぐる廻った挙句、携帯で呼び出して案内させる。本当は不意打ちのように行きたかったのだが仕方ない。まあこの生徒は反省状況も申し分なく、部屋で簡単に話をして終える。それでも正月があけるまでにもう一度は来なければならないだろう。

実家に戻り、母子を迎えてアパートに帰る。途中、A子が大好きなラーメン屋「HHM」で夕食。なかなか外食ができないA子にとって何よりのご馳走らしい。奮発してデラックスラーメン、2人の出来上がりをずらしてもらう。ここでも唯は遠くのテーブル席のおばちゃん達に笑顔を振り撒いて手まで振って見せ、彼女達を踊らせ賛辞の言葉を引き出している。0歳児にしてこのツボを心得た愛嬌攻撃。最近は可愛い幼児が変質者の標的になる事件も多いので、あまり愛想がいいのも心配になってしまう。