実家の2階で寝たのは何年ぶりだろう。親子三人川の字という奴も、よく考えればこの夜が初体験だった。いつもの部屋ではベビーベッドがあって布団を並べられず、親子三人「〒の字」状態だから。唯と俺が5時半に起きるとお袋がもう起きていて朝の支度をしていた。A子は夜中ぐずっていた唯の世話疲れで8時過ぎまで布団の中。

午前中は大人4人で唯を囲んであやして過ごす。親父とお袋にとって唯は待ちに待った長男の孫であり、それこそ眼に入れても痛くない可愛がり様だ。まあ俺達も普段からさんざん可愛がって育てているので、唯にとってはちょっと人数が増えただけでそれほどの違いは感じてないのかもしれない。昼飯の材料をお袋と一緒に歩いて近所のスーパーに買いに行く。お袋は唯をおぶったままだ。帰りに雨が激しくなり、一本の傘で不自由しながら歩いていたら、親父が傘を持って迎えに来てくれた。余程唯が気になるらしい。後からA子に冷やかされそうだ。昼食は鍋焼きうどん。

のど自慢が始まった頃にA子を駅まで送り、夕方まで唯にとって母親不在の時間を、俺とじじばばで乗り切ることになる。A子は産休前まで勤めていた大学の学園祭に呼ばれ、旧交を温めに行ったのだ。唯は思ったより大人しく、離乳食も味噌汁かけおかゆやじゃこ入りおかゆ、さつまいもミルクなどをよく食べる。ただ眠くなってから実際に寝付くまで大いにぐずり、おっぱいがないハンディを強く感じさせた。

夕方から雨が強くなり、A子を迎えに行くのと実家から帰ってくるのに視界が悪くなり、運転にずいぶん神経を使う。帰って簡単にきしめんを茹でて夕食とし、唯を風呂に入れて寝かしつける。フランスで暴動が広がっているというニュースが気になる。たとえ戦争と縁遠い世の中でも、いつ平和が脅かされる事態になるか分からないことを思い知る。