朝起きて、寝ているA子をそっとそのままにして唯にミルクを飲ませると、スプーンを手で押し返したり口からこぼしてしまったりと、ずいぶん時間がかかる。起き出したA子に尋ねると、30分前にやったばかりだったという。それは唯に悪いことをした。朝食は一昨日の味噌汁の残りとハンペン。A子が昼食にとお握りを作って持たせてくれる。

今日は祝日だが、野球応援のため応援団を率いて試合会場に向かう。委員会の正顧問から今日の引率を頼まれたため、3年ぶりに応援の責任者となった。球場に着くと、先方の応援団が打ち合わせのためもう我々を待っていて、ずいぶん高圧的な態度でこちらの応援団としての姿勢を非難してくるので、もう少し何か言うようだったらこちらで間に入ろうと思っていたのだが、こちらの団長が「ああそれは済みませんでした」とあっさり頭を下げるので、それきり対立は解消してしまった。俺と比べても大人の対応だと感心する。

野球の試合自体は驚くほどの快勝、4年ぶりの初戦突破を成し遂げてくれた。お陰で第2試合以降の予定を入れるため、部活や補習などのスケジュール調整が大変になるが、これは喜ばしい負担といえるだろう。試合後、監督に「おめでとう」と声をかけると、何ともいえない顔つきで黙って握手の手を差し出してきた。地元から有形無形のプレッシャーを受けつづけてきて、やっと答えを出せたと深い安堵の思いでいるのだろう。これだけは高校野球部監督という看板を背負ったことがない人には分からない重圧だ。一般生徒は遅く集まって早々と解散させられるが、応援団は最後の片づけまで面倒を見なければならず、解散して家に着いた時は17時を廻っていた。

夕食はA子手製の冷やし中華と出来合いのメンチカツ。野菜中心の冷やし中華がさっぱりしていて美味しかった。唯は夜にかけて大泣き。風呂入り前と後にそれぞれ散歩に連れだし、夕涼みの中で懸命になだめるが、部屋に戻るとまた激しく泣き出してしまう。A子に代わっておっぱいを与えると、すぐに泣きやんでそのうち眠ってしまうのが、ホッとするところでもあり、悔しいところでもあり。