校内人事発表の日。高まる不安とわずかの期待を胸に会議の始まりを待つ。その間にグランドに出て今日の指示と明日以降の日程連絡を済ませておく。予定通りなら、この3月いっぱいでサッカーの連中ともおさらばとなるのだが・・・。いや、連中はとてもいい子達で分かれがたい気持ちに偽りはない。ただ、より自分の専門性を生かせる場所に落ち着きたいだけだ。

職員会議が始まる。配られた校務分掌一覧にすばやく目を通す。まあ予想されたとおり自分は水泳の主顧問とサッカーのカッコつき副顧問である。運動部二つに名を連ねる負担の重さはあるが、そこまでは事前了承していたことだ。しかし問題の、監督と一年を共にする専従の副顧問に、見慣れない名前が書かれている。結局俺がなされたと同じように、管理職は新年度の転任者に押し付ける形で決着を図ったわけだ。あれだけ事情がわかっている人にお願いしたいと伝えておいたのに・・・。

気を取り直して転任者紹介を待つ。このサッカー部の欄に名前のあるI先生とはいかなる人物なのか、サッカー経験はなくても、せめて運動部の扱いに慣れた人であるだろうと期待するのは当然だろう。しかし、管理職はやってくれた。推定50ウン歳、理科担当、スポーツに全く縁なし風メガネのの初老男性が俺の代わりにサッカーに就くのだそうだ。会議後慌てて本人に確認する。「土日のほとんどを遠征で過ごす事になりますが、引き受けられますか?」「ええっ・・・やれる範囲はやらせていただきますが、毎土日というのはちょっと・・・」そこで校長にすぐさま掛け合う。「私が他の運動部の主顧問をやる以上、サッカーの副は土日の帯同が可能な方が絶対条件だと言ったじゃないですか!」「でもS君(監督)は基本的には自分だけでできると言ったし、君も水泳で毎土日がつぶれるわけじゃないだろうから、空いてる日は見てやってくれないか?」つまり管理職もこの転任者にサッカー副の荷は重いのだとわかっているのだ。その上で俺に犠牲を強いているのだ、と話す中で気づいた。

勤務後は社会科の送別会となっていたため、結局今日は唯が産まれてから、丸一日その顔を見れなかった初めての日となった。ばかりか、来年度の勤務形態に大きな不安を残す結果となった。管理職との話し合いの中で、まだ部活顧問に関しては再考してくれる返事をもらったが、はたして希望はあるのか。