「木の真実はすべての飾りをはらい捨てた姿で立っている、いまの季節にある。」
「——あのような最期を迎えられればいい。」
藤沢周平の『静かな木』の中で、布施孫左衛門が海坂藩城下の五間川ほとりにある福泉寺の欅の老木に抱く感想です。
さて、物語は展開して、一件落着。孫左衛門が見上げる欅は、春の日を浴びて青葉に覆われて静かに立っている。
「——これも、わるくない。」
「——生きていれば、よいこともある。」
☆読み終えて、20年前に始めて手にした時とは異なり、爽やかな共感が残りました。さて、明日は衣替えを済ませてしまおう。
(注)写真は佐藤忠良晩年の《老木》デッサン・シリーズから『高井戸八幡』1997(85歳)
