ハワイの土地を売った場合の課税仕入れはどうなるの

 

消費税法第4条(課税の対象)

 消費税法第4条第1項は、国内(第2条第1項第1号)において事業者(第4号)が行った資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する旨規定しています。

 

 これは、資産の譲渡等のうち国内において行うものを規定していることから、国外において行う資産の譲渡等も存在することは明らかです。

 

 そして、課税されるのは、この資産の譲渡等を事業者が行った場合であることが規定されています。

 

 消費税法第2条(定義)

 消費税法第2条第1項第8号は、資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産 の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう旨規定しています。

 

 また、同項第9号は、課税資産の譲渡等とは、資産の譲渡等のうち、第6条(非課税)第 1項に規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう旨規定しています。

 

 つまり、「資産の譲渡」と言った場合は、私法上の用語で、「資産の譲渡等」と言った場合 は、消費税法上の用語です。

 

 したがって、課税する場合は、資産の譲渡等といわなければいけないこととなります。

 

 また、課税資産の譲渡等は、「資産の譲渡等のうち」と規定していることから、課税資産というものがあって、その譲渡等という意味ではなく(「課税資産」の「譲渡等」ではありません。)、 「課税」+「資産の譲渡等」という意味です。

 

 第8号における資産の譲渡等は、国内においてと規定されていないので、国外において行う資産の譲渡も含まれることとなります。

 

 消費税法第6条(非課税)

 消費税法第6条第1項は、国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げる 土地等には、消費税を課さない旨規定しています。

 

 ここでは国内においてと限定しているので、国外において行われる別表第一掲げるものを譲渡又は貸付けした場合には第6条の規定は適用されないこととなります。

 

 そうすると、ハワイの土地を譲渡した場合には、消費税が非課税とされないことから、消費税が課税されてしまうように思いますが、

 第4条に戻って、資産の譲渡等を国内において行った場合にのみ課税されるので、ハワイの土地を譲渡しても課税されないこととなる。

 

 つまり、非課税ではなく不課税となります。

 

 しかしながら、課税資産の譲渡等は、資産の譲渡等(ここでは、まだ、国内・国外を含んでいます。)のうち、非課税の規定が適用されるものを除くとなっており、

 

 非課税の規定は国内における資産の譲渡等のみであるから、ハワイの土地は第9号の規定の「消費税を課さないこととされているもの以外のもの」に当たり、課税資産の譲渡等に該当することとなります。

 

 消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)

 次に、消費税法第30条第1項は、事業者が、国内において行う課税仕入れについては、

 

  次に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の課税標準に対する消費税額から当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額の合計額を控 除する旨規定しています。

 

 そして、第2項は、第1項の場合において、同項に規定する課税期間における課税売上高が5億円を超えるとき、又は当該課税期間における課税売上高が100分の95に満たないときは、

 

 同項の規定により控除する課税仕入れに係る消費税額の合計額は、同項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分の応じ当該各号に定める方法により計算した金額とする旨規定しています。

 

 そして、第1号は、当該課税期間中国内において行った課税仕入れにつき、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等(以下「その他の資産の譲渡等」という。)にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分が明らかにされている場合は、

 

 課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れの税額の合計額に、課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れの税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額を加算する方法とする旨規定しています。

 

 ここで定義した「その他の資産の譲渡等」は、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等であり、第2条第9号で定義した「課税資産の譲渡等」とは、資産の譲渡等のうち第6条(非課税)の適用以外のものであったので、

 

 つまり、第6条の適用のある資産の譲渡等のことで、いわゆる非課税の資産の譲渡等のことです。

 

 そうすると、ハワイの土地の譲渡等は、課税資産の譲渡等であったので、これに要した費用で国内において行われたもの、

 

 つまり、国内において行う課税仕入れの消費税額は、第30条から控除できることとなるのです。