カーリー・サイモン。
とりわけ美人というわけではない。

チャーミングだけどね。

でも彼女はモテた。
ものすごくモテた。

当時きっての二枚目スターだったウォーレン・ベイティから、ミック・ジャガー、

キャット・スティーブンスなど有名人との噂が途絶えなかった。

 

「恋多き女」と当時言われた。

彼女がというより、

男のほうが放っておかなかった。

それは彼女の人となりが影響している。


お金持ちのお嬢様で、どこか気品があり
それでいて天真爛漫。
しかもモデル並みの抜群のプロポーション。

なによりも、笑顔が素敵だった。


当時はファッションリーダー的存在。


曲を書けばNo.1ヒットを出す才女。
今なら、テイラー・スウィフトと背景はかなり似ている。


女の子の心を持つ、セクシーな女。

男にとって一番ヤバい奴。
そりゃモテないわけがない。

 

彼氏を絶対に会わせてはいけない女友達のタイプ。



良くも悪くも無邪気で、オープンな性格は曲にも表れる。
変調など変に凝ることなく、シンプルな構成。
彼女の少し低めな声が、聴いていてとても心地よい。

「素敵な女性」という言葉が似合う。


カーリー・サイモンは、1970年代のシンガーソングライターのブームで頭角を現す。

 

新しい時代の象徴として
同じころ登場したキャロル・キングやジョニ・ミッチェルと並んで人気を博した。



彼女のキャリアは長くて1964年、
姉と組んだサイモンシスターズでデビュー。
 

フォークミュージックを歌っていたけど、
この時期は全く売れなかった。
そのうち姉が出産のためグループが解散。
カーリーが一人でやるようになってから花開く。



1971年春、シングル、「That's the Way I've Always Heard It Should Be」
でデビューするやいきなり全米10位のヒット。
デビューアルバムも全米30位とまずまず。

同じ年の冬に続けて新作をリリース。
これもまたヒット。


そして例の大ヒットへとつながっていく。




1972年11月
「No Secrets」を発表するや騒然となる。


曲もそうだが、ジャケット写真に世界のヤローどもが沸き立つ。
詳しく書くのもあれなので控えるけど、よく見てもらえばなるほどと分かる。


男というのは世界共通で、その程度だと思ってもらえれば。
馬鹿で単純なんだね、男という生き物は。
 

次作のジャケット写真で

ヤローどもはさらに興奮することになる。

カーリーもやりすぎなんだよ。

 

 

 


アルバムは全米No.1。

 

 


その中からのシングル
「You're So Vain」もNo.1!

 

 

 

その歌詞が、当時は画期的だった。

自分の過去を赤裸々に語ったもので、
女たらしの男に引っかかり、捨てられた自分。
次々に女を漁る元カレと、
そんな男にすり寄っていく女たちを冷ややかに見つめる。

ただ、そこはお嬢様
ぐさりとやらずにチクリとやる。

サビでは
「あんたは、この歌は自分のことを歌っていると思うでしょ。どうよ、どうよ?」
とその女たらしに問いかける。




ところが、これを聴いた世間。
「カーリーにそんな思いをさせたヤローは誰なんだ?」
と犯人探しがはじまる。

カーリー本人が

そのことについて口を閉ざしたので、
あいつだ、いやこいつだと、

当時は凄かったらしい。



それはさておき、このアルバムやシングルは
新時代を切り開く1枚。
70年代の中でも重要な1枚。

 

 

 

 

このアルバム発表時にジェームス・テイラーと結婚したので、
そのあたりの人脈が大勢参加していて、
ポール・マッカートニー夫婦など錚々たるメンバーがずらっと。


この前年に発表されたキャロル・キングの「Tapestry」と聴き比べるとわかる。
 

キャロルのアルバムは

正統派シンガーソングライターのシンプルな作り。
 

一方のカーリーは

ロック、ジャズやフュージョンの香りのする新しい音楽。
 

この路線は後に、ジョニ・ミッチェルによって磨き上げられる。



そして「You're So Vain」
バックコーラスにミック・ジャガーが参加。
これ、ノークレジットで参加したらしく、
当時ロンドンで録音中に、

ミックがふらっと現れ、
サクッと歌って帰ったらしい。



この曲は「Billboard's Greatest Songs of All-Time」で92位にランクされたほか、
イギリスのOfficial Charts Companyで「70年代の究極の1曲」に選ばれた。
 

まさに70年代を代表する1曲といっていい。
すごく好きな曲。



後にテイラー・スウィフトともデュエットしてる。
インタビューではテイラーも

「誰のこと?」って本人に聞いてる。

 

 


その後もヒットを飛ばしていくけど、
映画音楽との関わりが深くなっていく。

1977年に007のテーマ曲「Nobody Does It Better」が全米2位のヒット。

 

 

二児のお母さんになってからのほうが、どんどん綺麗になった。


1986年、メリル・ストリープとジャック・ニコルソン主演の「心みだれて」の主題曲

「Coming Around Again」が全米18位。

 

 


 

1989年、メラニー・グリフィスとハリソン・フォード主演の「ワーキングガール」の主題曲

「Let the River Run」が全米49位。
この映画は面白かったよね。

女性の社会進出の象徴になった映画だったような気がする。

 

 


この曲はゴールデングローブ賞とアカデミー賞、グラミー賞を受賞。

絶頂期はノミネートされても、なかなか賞獲得までに至らなかったけど、
80年代以降は、あちこちと勝ち始める。



カーリーはもう70歳を超えちゃったけど、
スタイルだけじゃなく、
あの無邪気なところはいまだ健在。

みんなに愛される、

素敵な人であり続けている。






そうそう、
つい最近、「あの女たらし」が誰なのかバラしちゃった。


やっぱり、ウォーレン・ベイティだった。
ウォーレン本人も「ありゃ、俺だな」と認めた。

映画「俺たちに明日はない」の、こいつ。



個人的にカーリーで一番好きな曲。
「Anticipation」(全米13位、1971)

 

 

当時、27歳の頃のカーリー。