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風景というか心象というか、
好きなページを開き、
ゆっくりたどって、味わうような
掌短編みたいな日記。




小石、ふんだか

道のたね

たどってみれば

さくらんぼう






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ゆるやかな街路樹

桜の坂道。


ツツジも花の見頃を終えて、
緑を濃くしている。

木漏れの鮮やかな風を
大学まで歩いてゆく。

さっきから
運動靴の裏底を転がるように滑らせる丸い球体がある。

石にしては、なめらかで
砂利にしては大きすぎる。

よくみれば
白い玉のような小粒のタネだった。

もしかしてはと、地面に目を走らせると、確信的に高揚するアスファルトに、

よく見慣れた細長い蔕(ヘタ)が落ちている。

すこし先に、赤い実が鳥にかじられてあるのを見つけた。



きれいな実のひとつを拾う。



野生のさくらんぼうが、

こんなに堅い光沢をしているとは。
味わって食べるほど、果肉はないけれど。



見上げた枝に

手を伸ばし
葉影をめくれば


深く光らせながら
涼やかに燃える

赤い実を、みつけた。










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小石、ふんだか

道のたね

たどってみれば

さくらんぼう















本日も訪問ありがとうございます。


花を季節 というけれど、サクラの見頃を

みつけたような気がしました。



ではまた 涼





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〈omake!!〉


満天の桜




















去年の秋口。

ちょうど本多劇場で「ゴーゴージュピター 」( ←リンク)が劇団公演中のころだ。

その日は夜公演だし、昼間の時間に散歩していのたが、

小径から入ったいつも通る桜のアパートが物々しい雰囲気だった。

道幅いっぱいに停車した白いトラックは、植木職人のものだろう。

荷台には、黒い樹皮を隆々と、断面を生々しく、

さっき斬り落とされたばかりの桜の木が横たわっていた。




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この古いアパートの老木の桜だ。

たしかに、その前の年までは、電柱を乗り越え、電灯を挟み、電線の合間を縫いながら、

たくさんの花をつけ、この辻を賑わせていたのだ。

しかし、なぜか今年は小さな葉をつけたまま、ひとつも花を咲かせることがなかった。

病気かな。

このアパートにはもう一本の老木がある、そっちは盛大に咲かせていた。だから、斬られたのかもしれないなと思い、もう一本を見に行った。

木にハシゴをかけて職人が、細い枝を落としたところだった。

こっちも、斬ってしまうのか。


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三人の職人が、大汗を掻きながら、それぞれの木にまたがり作業をしている。
チェーンソウの刀歯をいれたまま本幹だからだろう、少しのところで、止まっている。
職人は、呻き声と溜め息のまじった強い嘆息を吐き出した。

湿り気を帯びた樹木のおがくずが、刃先に白く絡まっているようだ。
その木の生命の反抗にも見える。

この古いアパートを建てなおすのだろうか、それとも枝が電線にかかってた通りの安全性を考えてだろうか。

なんだろう
やはり、身を切られる思いがする。




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当時このことを書こうとしたのだけど、

秋の公演中でもあり、どうも乗る気にならず、

そのままにしていたのだ。



今年、
この古アパートの二本の桜は枝や幹を切られ葉もつけぬまま、

腕のないヴィーナスのブロンズ像みたいに、

春の通りを静かに見下ろしていた。

花の季節を無くして過ごし

葉っぱの空も沈黙のまま。




春を過ぎれば、ここ数日。

変則的に暑さと寒さを繰り返すのは毎年のことだが、この不安定な気象は、梅雨の手前だ。上空の気流と地表の大気をかき回すように、

積雲が猛(たけ)る。


また深夜に大雨が降った。

朝、出先の仕事のため早起きして駅に向かう。古アパートをいつものように通り過ぎた。急ぎ足でもあったが、その先の住宅地の駐車場で立ち止まった。

古いアパートの今は裸の桜のたもとに、腰掛け用の切り株がある。

この木の忘れ形見だ。

またもどり、もう一度
ようく見るために引き返した。


用心深く覗き込むと、くぼみから桜の若い枝が、

やっぱり伸びていたのだ。


これは、歓喜だ。


まさか根のない切り株が
樹木自身の吸った水分に
養分をたぎらせ、数ひらの若葉にしたのだ。

地面に残された片割れは切り離されて半年も立つのに、まだ呼吸をしていたのか。
驚きとともに、その迷いのない一心さに、かく然り在る、ベクトルを見る。



小さな一本の若葉よ。


しゃがんで目線を合わせ、
丁寧に、対峙する。



そう、ある。
そう、あれ。


生命はいっせいに
その方向に、向かっている。


そう、ある。
そう、あれ。




さあ
切り株の桜を離れ
行かなくちゃならない。



空に胸張る
君を、あとに。










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本日も訪問ありがとうございます。

コメントに感謝しています。
これからもこの「どぶろぐ」を続けていきたいと思っています。涼









〈omake!〉


桜えろす


この老木の桜がモチーフです。もう切られてしまったので思い出の詩になってしまいましたね。


でわまた。













ぷかる、ぷかる

うき藻
緑に泡立ち

池のおもてを
ぐんぐんと

枯れたハス
しなびて合わさり
ビルの空


くぷぷぷ


ぬるい大気を
吸い込みながら
よどんだ発泡に
身をまかす


遊ぶ亀

春のあわを
食べる



弁天さん
夕辺を閉じて
小島におわして
ご座います


そうろう
そろそろ


上野のお池







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(不忍の池・上野)









本日も、訪問ありがとうございますね。

大友克洋「GENGA展」を観たのが4月下旬くらいですから、もう不忍の蓮も緑に茂ってきているかもしれませんね。

「GENGA展」から散歩、神田~上野も、ここでひとまずおしまいです。


メッセージありがとうございます。コメントもひとつひとつお返ししますね。

ではまた。涼