神さまの庭 |  ◎涼のどぶろぐ◎←つながり日記←

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風景というか心象というか、
好きなページを開き、
ゆっくりたどって、味わうような
掌短編みたいな日記。



木枯らしがちっとも吹かない。

日差しのおもては、あたたかく、雲はマダラに浮かんでいる。
もう10月も下旬だというのに
冷たい風にホッペタを赤らめるような紅葉が、まだ始まらない。

北澤神社に向かう茶沢通り裏の遊歩道に、つぶれた銀なんの実が芳ばしく香る。

まろみながら鼻を突く匂いに、秋の深まりを感じないのは、まだまだ緑を宿したイチョウの枝のせいだろう。


稽古の前に、お参りでもしようかと駅から南口商店街をぬけてきたのだが、ほんとうは台本が読みたかったのだ。

そんな時うちのメンバーなら駅前のマクドナルドや近くのファーストキッチンで、こんな時間を過ごすのだろうが、僕には神社の公園の方が落ち着く。


まずはあいさつのお参りと、
大鳥居の公園を過ぎ石段を上ると今日はなんだか雰囲気が違う。

能舞台がある砂利の広場に、荷物と椅子が、ごちゃりと並んでいる。




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誰もいないその物々しさに、
「あ、なんかの撮影だ」とすぐにわかった。
石畳の先、本堂を見ると、レフ板を持つ人が見え隠れする。
自主制作映画にしては、人数が多そうだ。しかし、テレビの芸能人やらリポーターみたいなノリでもない。

いつもは閉めっきりの能舞台もガラス戸が取り払われ、松の舞台が、静か面もちで開かれて、
舞台の手前を小さな半鐘が、鈍い金色の佇まいに控えていた。


なんとなく映画かなと思う。

「ま、いっか」


撮影の邪魔をするのもなんだし、お参りはやめにしてその石段に座り、台本を読むことにした。

大鳥居の向こうの道路から、蛍光グリーンのジャンパーの男の人が

「(ない、ない)」と手を振った。

上のスタッフらしき人が、
「そっかー」と。

「もう少し探してみる」
アシスタントみたいな男の人は住宅の道を入っていった。


僕はまだ邪魔じゃなさそうだ。階段の中腹のすみっこ、かたわらに2つの台本をカバンから出す。そんな国語の教科書みたいに大きな声じゃ読まない、ひとりボソボソと、演る。


2つの台本は、僕が今年、最後に残した公演だ。

じつはどちらも震災の時期に
かかわりがある。

ひとつは

うちの劇団の公演。
震災から、自粛ムードもまだ残ったころの4月の公演の再演。

草加の街で1日だけやる。



もう一つは、

こないだの「GO!GO!ジュピター」で共演した事務所の若い子達とやるのだが、
この作品、通し稽古まで出来、もうすぐ本場を迎えるところで震災にあい

あのころは余震がまだ多かったし、

交通も節電で寸断されお客様への安全も考えただろう。

公演は中止。
売っていたチケットもキャンセル払い戻し。
幕の開かなかった舞台。


それが今年の12月にやることになった。
僕は飛び入り参加だが、つい最近の「GO!GO!ジュピター」の縁で事務所の若い子らとまた共演できるのは嬉しい。


どちらも今年の締めくくりとしてはふさわしい公演だ。




しばらく読みながら
ふと思う。


今ここでは、僕が2つの台本を読み、あの本堂では、撮影が行われてるんだ、と。


それは少しの興奮だ。

石段の2つ台本と本堂での撮影されている物語。

3つの物語が境内の上空を漂っていて
神社という実在の向こうを扱った世界で、つながっている。



それはまるで

神さまの庭で遊んでいるみたい。


そういや演劇も祭りも事の起こりは神さまの行事だ。
ある演出家が「都市に祝祭はいらない」っていってたのを思い出した。
でも僕はやっぱり、そのコメントとまったく関係なく、いまだに、祝祭の中にいる。


だって
やっぱり、こうして
神さまの庭で遊んでいるんだから。








階段をぞろぞろと、黄色帽子をかぶった小学生たちが、僕の横を下ってきた。
みんな手に持った、バインダーにはプリントを挟んでいる。


地域学習で自分の街の神社の見学だ。
撮影とは関係ないようだ。


大鳥居をくぐる小学生たちの行列を見送りながら、公園の遊具のあいだに立つの時計をみると、いい時間だ。

振り返って本堂を見上げた。

境内の撮影隊も、子供たちの社会科見学の中断に手を休めていたことだろう。




「お参りは、また今度」




今日は、稽古場に向かおう。













訪問ありがとうございます。
12月の公演に向けて、稽古中です。

メッセージと読者登録ありがとうございますね。涼






〈omakke〉

盆墓参り(ぼんぼまいり)











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【瀧下涼☆客演情報☆】
アシュラ第二回公演「警備物語~街の灯り編~」
2011年12月7日(水)~11日(日)


脚本・演出:柿崎ゆうじ
劇場:築地ブディストホール