下町撮影日記①
「いろは商店街とスカイツリー
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「ヨーイ、スタート」
「″お父さん!″」「早い」
「三秒かぞえたよ」
銭湯のシーンもこれで終わりだ。
未空ちゃん(ミクちゃん役名)も、最初の頃よりだいぶ、慣れてきたようだ。下町を題材にした自主映画に参加している。
「もう一回、すたっ」
「お父さん!」
「早い」
スタートしてからすぐにセリフをいってしまうと編集の時に、切り取りにくいのだ。
監督コントみたいだなぁと、
男湯の脱衣場のロッカーで微笑ましく撮影を見ている。
ま、なんせ6歳の女の子だ。
おととしの下町の映画祭で選ばれた作品には出演していた。
その時は4才か。すげ。
僕の参加は初めてだが、監督の内野さんは、三年前から始まった下町コメディ映画祭の初年度には、コンペ作品としてエントリーさているのだ。
ヨーイすたッ
…、お父さんっ
おけ!
しかし去年は、作品が難解だったせいか(20分作品!?)落選し、今年の公開を目指し
わかりやすいコメディをひっさげて、今回の作品で挑む。
僕は銭湯の雰囲気が好きだ。
つい最近も蒲田で、劇団のメンバーの中田が客演した芝居を観にいった帰り道に、ひと風呂浴びに行ったくらいだ。
この有馬湯は、なかなかの銭湯だ。
なんと東京で一番高い天井なのだそうだ。
今は営業時間外にこうして撮影しているけど、待ち時間のお客さんのいない貸し切りの脱衣場に居られるのは、特別な感じで、なんかいい。
脱衣場の吹き抜けも高く、窓から差し込む日明りのせいか
開放感がある。
壁ぎわのロッカーの上の方には、通っているお得さん達の石けんや、シャンプーの置き場があり、小さな棚に漫画がぎゅっと詰まっていて、この銭湯の賑わいを感じる。
そんな僕は撮影中に何故か。
共演者の吉田テツタさんから、薦められた
吾妻ひでおの「うつうつひでお日記」
を、手にして読んでいる。
撮影初日
「たっきー、これ読みなよー面白いからー」
「いや、いいっすよ撮影中ですから」と断ったんだが。
その吉田テツタさんは、毎回この銭湯の若旦那役だ。去年の撮影の合間にでも読んだのだろう。
「だから、いいっですって!」
「えーなんでー面白いのにー」
いつも、なんの脈略もなく薦めるのだ。この人は。
そんなテツタさんとの共演は5年ぶり、それも嬉しい。
ホントに芝居ってのは一期一会 で、次いつ演れるかわからない。
だからその瞬間が大事だなぁといつも思う。
今は、テツタさんの撮影中だ。
あいにく今日、この午前僕の銭湯でのシーンはほとんどなく、午後の荒川土手がメインだったのもあり、待ち時間にパラパラとめくっていたら、
読み終わってしまった。
萌え系マンガのハシリ(内田亜紀は同時代だけどエロか、この辺に萌えの黎明があると思う)吾妻ひでおの日常が、これまた、すごい読書量で、その寸評の鋭さや、なんもしてなかったり、テレビで格闘技を見てるだけだったり、街で女の子を観察してたり、あと意味なく挿入される萌えギャルな絵をアクセントに、綴られていて、
なんだか、面白い。
最近の同人誌の若手の萌え女子絵を模写しているカットもあって、研究熱心なんだと関心したり。
快進の復帰作「失踪日記
」は、まだ読んでいないので、読もうかと思った。
未空ちゃんの出番が終わり。
番台のところでCGのはめ込みのための撮り。テツタさんと僕のシーン。監督の内野さんとCGのウエさんが打ち合わせて
先日やったセリフのやり取りをして、違う角度で撮る。
すんなり終わり。
これで有馬湯の撮影は終了。
これから
北千住駅に、昼からの役者さん達と合流。ワゴンでピックアップして荒川土手で撮影だ。
片付けながら移動の用意をしているとき
この有馬湯のホンモノの若旦那のイチムラさんが
「タキシタさん持ってってイイスよ」
と、声を掛けてくれた。
待ち時間に吾妻ひでおの漫画を読んでいる僕を見ていたのだろう。
「失踪日記ありますか?」
「たしかこの辺に…」
「お(嬉)」
ゴソゴソ
「あー(お客さんに)持ってかれちゃったか」
「あら」
- 地を這う魚 ひでおの青春日記
- が、あった。
「あ、これ」
時間があったら読もう。
「どうぞ。あとで合流しますよ」
イチムラさんは銭湯の営業準備をしてから、くるのかもしれない。
とにかく、僕らはワゴンで、北千住駅に向かう。
三ノ輪 有馬湯
本日も最後までありがとうございます。涼
<おまけ>
荒川土手とロケ団
つづき
(下町撮影日記③)
いろは商店街とスカイツリー
(下町撮影日記①)

