2016年4月、メキシコ駐在が決まり、
これからどんな方々と出会い、どういったものを食べ、どのように過ごすのか、
期待と不安が入り混じった中、現地に向けて出発しました。
最近ではタコスなどメキシカンのブームが日本にも来ており、以前よりは情報が取りやすくなって来たかと思いますが、当時は未だあまり情報が多くなく、漠然と持っていた「サボテン」「テキーラ」というイメージだけでした。
こういったイメージを持って現地に飛び込んで行きましたが、モンテレイという街の特徴もあり、イメージが大きく異なっている事にすぐに気付かされました。
先輩駐在員の方々から「モンテレイはとにかく牛肉が美味しい」と伺っていたので、お肉のお店もいくつか訪問してみましたが、
とにかく美味しく、「なぜこの価格でこのレベルのお肉が出せるのか」といつも疑問に感じていました。
私は元々食べる事が好きで、
海外を旅する事も大好きですが、旅先では出来る限り現地のお料理を食べ、現地の方々と接したいと考えていました。
こういった思いがあるので、
モンテレイ到着後も現地のオススメのお店を色々聞いて回りましたが、オススメとして教えて頂けるお店は重複している事も多く、そのお店はこの前行ってしまったんだけどな、と感じる事も結構ありました。
そこで、食べに行ったお店で働くメキシコ人の方、会社のローカルスタッフの方々など、現地の方にオススメのお店を聞いてみる事にしました。
すると、それぞれ聞いた事のないお店をたくさん知る事が出来、まずはインターネットで気になるお店を調べてみて、それで行ってみたい!と思ったお店に行き始めました。
またリピートしたい!というお店や今回限りかなというお店など、様々ありましたが、自分が実際に行ってみて、
「良い!オススメしたい!」と感じたお店は、どうやったら他の日本人の方と共有出来るかなと考えた時に、ブログの事を思い付き、始めてみる事にしました。
これがこちらのブログを始めたきっかけです。
元々食べる事は大好きでしたが、
これまでにブログをした事はなく、ものを書いた経験もなかった為、始めた当初はここまで長い期間やる事になるとは全く思っていませんでしたが、気付いたら4年間続ける事が出来ました。
これは偏に、日々読んで頂いた読者の方々、
お世話になった飲食関係の方々、「ブログを読んだよ!」と声をかけて頂いた友人の方々のサポートがあったからこそでした。
本当にありがとう御座いました。
4年間続ける事が出来たこちらのブログですが、記事を書いている時に、ふと、「自分はなぜ食べる事が好きなんだろう」と感じる事が何度もありました。
これまでを振り返ると、大学生の時はアルバイトでホテルの給仕をやっていましたが、とにかくその仕事が楽しかった。
ホテルでの仕事は長時間・重労働が当たり前ですが、それでも本当に楽しかった。
何が楽しかったのか、それは自分がさせて頂いたサービスに対してすぐに目の前のお客様が反応される事。
ワインの注ぎ方、椅子の引き方、お皿の出し方、お化粧室のご案内、追加のご注文の確認等々、自らのあらゆるアクションに対して、ご満足頂けたのか、ご不満なのか、何も感じられていないのか、などが目の前の方の表情で良く分かりました。
ただし、一度上手くいったからといって、次からも上手くいくわけではないのが、サービスの難しいところであり、面白いところ。
「お客様に応じて、その方のつぼを探す」
「お客様にお願いされて行うサービスは、サービスではない」そういった事をいつも考えながら仕事しており、たくさん失敗しましたが、時々上手くいく事もあり、その時は本当に嬉しかった。
4年間続けたこのアルバイトでも本当にたくさん学ばせて頂きました。このアルバイトを経て、更に食への関心が高まったような気がします。
メキシコの話に戻りますが、メキシコの食文化は本当に面白く、興味深いです。
日本でも一部地域で昆虫食の文化がありますが、メキシコにも同じようにその文化があり、普通のお店でも食べられます。
蟻の卵(Escamoles)、コオロギ(Chapurrines)、芋虫などがあり、いずれもメキシコ で食べてみましたが、目をつむって食べれば全く分からない程、味は悪くなかったです。
メキシコ /モンテレイではそういった経験も出来ましたが、ローカルの友人達と食事した際に、知らずにそれらを注文され、食べるのを躊躇している姿を見て笑われていましたが、勇気を出して食べたところ、「ブラボー!」と拍手されました。
ローカルの方の中でもあまり得意ではない方もいるようで、「よく食べた!」という事で、その時からその方々との距離も
ぐっと近くなったような気がします。
元々は貴重なタンパク源として、食べられていたようですが、今ではそれに変わるタンパク源がたくさんある為、以前程は食べられていないものの、引き続き食べられているようです。
そして何と言っても「タコス」。
様々なお店でタコスを食べましたが、本当に奥が深く、面白い料理です。
先日、アナザースカイという番組で、モデルでタレントの市川紗椰さんがメキシコシティでタコスの食べ歩きをされていましたが、その中でタコスを表現されていた言葉が強く印象に残りました。
『計算されたカオス』
これ程タコスを的確に表現する言葉はないな、と感じました。トルティーヤで何を挟んで食べても良い、それがタコス。非常にシンプルですが、奥がとても深い。
東京にも青トウモロコシを使ったトルティーヤのタケリアがあるとの事ですので、是非伺わせて頂きたいと考えています!
メキシコの食そのものにもたくさん素晴らしいものに出会いましたが、食に接する方々との出会いにも恵まれました。
レストランオーナー・シェフ・マネジャー・給仕・投資家・ワイナリーオーナー等、様々な方々と出会い、様々なお話をする事が出来ました。
普段生活しているだけでは中々お会いする機会のない方々とも食を通じてお会い出来、時間を共有出来ました。
食にはそういった新しい世界を見せてくれるパワーもあると実感しました。
お世話になった方々に帰国が決まった事をそれぞれお話しさせて頂いたところ、特製ケーキ、ワイン、ピザ、など様々な送別の品を頂きましたが、そういったものよりも嬉しかったのが、そういった方々と深いお付き合いが出来、その方々の「心が頂けた事」。これが何よりも嬉しかった。
私は日本人で、英語もスペイン語も堪能ではないですが、真剣にお付き合いさせて頂き、その想いを共有する事が出来た為、そういった距離感でお付き合い出来たのかなと感じます。
中には日本に訪れたいというシェフの方もいますが、その方が日本に来られたら全力でアテンドさせて頂きたいと考えています。
その方からメキシコの素晴らしさをたくさん学ばせて頂いたので、今度は「日本人のおもてなしの心」で日本の素晴らしさもお伝え出来ればと思います。
とても寂しいですが、日本へ帰国する事となりましたので、こちらのブログで本ブログの記事は最後となります。
これまでご愛読頂き、誠にありがとう御座いました。
様々な方に読んで頂き、頂いたコメントを糧にこれまで何とか続ける事が出来ました。
心からお礼申し上げます。
これからは日本でまた仕事させて頂きますが、またチャンスがありましたらブログも異なるテーマにて再度始めたいと思いますので、よろしければ見て頂ければと思います。
それではまたお会いしましょう!
Hasta Luego !!
TKS129