※がっつり結末のネタバレしていますので、ご注意ください。




「愛するには短すぎる」は映像でしか見たことごなく。


今回、全ツで見る前までは、「自由な青春時代に別れを告げて、大人になって生きていく」話と思っていたのですが。


改めてしっかり鑑賞すると、むしろ「自由に生きることを知った」主人公の話でしたね。


咲ちゃん演じる主人公フレッドは、これまで自由な生き方をしてこなかった青年。


自分の意見を通すよりも、周囲の期待に応えることを第一に生きてきた。


その背景には、苦労していた両親を助けたい気持ちだったり、孤児院から引き取ってくれた養父への感謝だったりがあって。


誰もが羨む「養父から受け継ぐ社長の椅子」と「才色兼備の婚約者」を目の前に、いや目の前にしたからこそ、何か心に引っかかるものを感じている。


一方の夢白ちゃん演じるヒロイン•バーバラは、母親が体調を崩したことで、子どもの頃からの夢だった女優の道を断念して田舎に帰ろうとしている。


母のことは心から大切に思っているし、夢を諦めた決断に後悔はない。


それでも、心のどこかで、自分の人生、いつも1番欲しいものが手に入らない…と思っている。


そんな2人は子どもの頃におままごとのような結婚の約束をした初恋の相手同士。


20年振りに再開。しかも4日間という期間限定の船上。


さて、どうする…と。


結果としては、2人は別々の人生…船に乗る前に歩もうと思っていた本来の人生を進む決断をする訳ですが。


でもそれは、これまでのように自分の気持ちを押し殺している訳ではなくて。


相手を好きという気持ちを自覚して、しっかり伝えて、その上で相手の、自分の人生を思って、決断しているんだな、と。


咲ちゃんフレッドが、わがままでもいいからと、夢白ちゃんバーバラに自分の気持ちを必死に伝えているところがすごく良かったです。


そして、最後、さよならをしながらも、元気でな!手紙書くよ!と大声で叫んでしまうところとかも。


観劇前に抱いていた、青春と別れを告げる甘酸っぱい話、よりも、もっとビターな大人の話でした。


そしてこの2人の生き様を際立たせるのが、あーさ演じる主人公の友人アンソニー


こちらは主人公とは違って、自由に生きて自由に発言する劇作家の青年。


というより「いつか僕の作品が認められる日が来る」と信じている、劇作家「志望」の青年、かな。


やや咲ちゃんにタカって暮らしているよう見えなくも無いなか、実に明るく自分らしく生きてる。


この2人の対比が面白いし、咲ちゃんがチャラいあーさを面倒くさそうにあしらいながらも。

実は咲ちゃん→あーさの矢印の方が強そうで。

そんな関係性も魅力です。


(現実世界でも、真面目×自由人の友情ってそんなところあるよね)



これら登場人物を演じる咲ちゃん、夢白ちゃん、あーさがそれぞれピッタリ!!


咲ちゃんは何と言っても。

咲ちゃん×スーツが完璧。 


鬼に金棒。虎に翼。

咲奈にスーツ。


ボニクラのアウトロー系スーツキャラも最高でしたが、今回の高貴なスーツ青年も感動です。


そんな完璧な青年が、初恋の夢白ちゃんに出会って、どんどん本来の自分を取り戻していく…。

もといキャラ崩壊(?)していくところが…。

まぁ愛おしくて愛おしくて。


あーさじゃなくても「おいおいお前落ち着けよ」と思いつつも、楽しんじゃいます。


たぶん私は、咲ちゃんの「見た目完璧なのに、内面はちょっととぼけたキャラ」というギャップキャラが好きなんだと思います。


(これがあーさだと、同じギャップでも「見た目スマートだけど中身は闇落ち」に萌えたくなる)


さて、そんなにも、咲ちゃんを冷静でいられなくするヒロイン。夢白ちゃん。


凛々しいヒロインがハマるー!


やっぱり彼女は、自立したヒロインが似合います。


夢白ちゃんの演じるヒロインは清々しくて、観ていて元気になれるんですよね。


今回も、船降りたらニューヨークのバーに一緒に繰り出しましょ、アイツの話聞くから、私はいつも夢白ちゃんの友達になりたくなります(いい迷惑です)


(そして、そんな夢白ちゃんが、マリー•アントワネットというねっとり芝居をどう演じてくるか、1年後が大変楽しみでありんす)


あーさはもうオレ様キャラ演じさせたら向かうところ敵なしてすね。


これで堕ちない乙女がいようか、いやいるまい。


そして、ただ軽快なだけじゃなくて、懐の深さを感じさせるのが、あーさの芝居心だと思います。


(とりあえず、夢白バーバラは、ニューヨーク着いたらあーさアンソニーと付き合うといいよ)

(暮らしは咲ちゃんフレッドが支えてくれるから←おい!)


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