星組公演1789。
トップスターこっちゃんが休演中の代役公演を観劇しました。
まず、代役公演への感情とは難しいものです。
気持ちの中心にあるのは、休演中のこっちゃんの健康回復。舞台に戻ってきてほしいという祈り。
本来の公演が唯一無二のものであってほしい。
それを踏まえた上で、代役公演が成功してほしい、遜色ないものであってほしいという気持ちも同時にあります。
これは矛盾ではなく、同時に存在する気持ちです。
現実問題として、初めて宝塚を見た、宝塚ミリしらの人からしたら、代役云々など関係なく、あくまでチケット代分のパフォーマンスを見せてほしいでしょうしね…。
と、色々な気持ちを抱えて上での感想ですが。
まずは本当に星組の皆さま、スタッフの皆様、関係者各位、お疲れ様です。
まさかのトップスター役を本公演で急遽演じることになったありちゃん。
休演になったのが火曜日マチネ2幕、代役公演の発表が木曜日、そして土曜日から代役公演開始。
公演開始前にどの程度の代役稽古をしているか存じませんが。
見ている側からしても怒涛のスケジュール。
演じられる側のご苦労は図りしれません。
そんなスケジュールの中、本当に大変だったと思いますが、素晴らしいパフォーマンスで。
最大限の賛辞と称賛しかありません。
お芝居。
舞台のなかで違和感なく主人公ロナンとして生きていました。
こっちゃんロナンは星組らしい劇画的な大きなお芝居でシニカルな皮肉屋な役作りと感じますが。
ありちゃんロナンは真っ直ぐで、腹の奥から気持ちを絞り出すような役作り。月組らしいな。
農夫の息子ながらも、醸し出す隠しきれないキラキラ感に、まさきさんのDNAを感じました。
ダンス。
私はもともと配役発表前、ありちゃんロベピを予想していて、その理由はありちゃんを中心としたボディパーカッションが見たかったからで。
結果的にかりんロベピボディパ場面は大好きで何の異論もありませんが。
しかし、こんな形でありちゃん中心のボディパを見ることになるとは…。
気持ちとしては複雑過ぎますが、
重み•厚みのあるパフォーマンスは、見たかったものそのもの。たまきちのロベピを彷彿とさせられます。
(デムーランもボディパしてるけどね。ソロがみたいということ)
歌。
芝居、ダンス、スターオーラに関しては、これまでにありちゃんが培ってきた経験、能力から心配していなかったけれど、
歌については、こっちゃんの歌を歌うのは大変かもなぁと思っていました。
…ごめんなさい。申し訳ありません。
全くの杞憂でした…。
1789の難曲を。完全に。しっかりと。
違和感なく。ロナンとして。
歌いこなしていました。
本当に本当に。心配して申し訳ありませんでした。
私はありちゃんと出会ってから、何度ありちゃんに想像の遙か上をいくパフォーマンスを見せていただいたことだろう。
(そしてその度に何度謝ってきただろう)
月組時代のいつの頃からか、歌が上手くなったなぁと思っていましたが。
星組にきて、更に歌唱力が向上されてましたね。
ご本人の努力の賜物であることはもちろんですが、
発声や歌い方にこっちゃんらしさを感じるものがあって。
星組にきて以来、こっちゃんの歌声を聞いて、学んでいたのかなと思わずにはいられませんでした。
ありちゃんの宝塚人生は、思い起こすと本当に抜擢と波乱の連続だったと思います。
メリー•ウィドウのジャガイモ、明日への指針での早々の新公主演(ショー新公との併演とはいえ)、大作1789本公演の主要キャスト入りと同時の新公主演、バウワークショップ主演、トップスター退団公演の新公主演…。
たまきちトップになったあたりから少し段階を踏むようになった気もしますが(それでもマギーさんバウの主演キャスト、新公トート、自分のバウ単独主演など大変だったでしょうが)。
それらを乗り越え、ご自身の血や肉に、経験にされてきたありちゃんだからこそ、ありちゃんにしか出来なかったパフォーマンスだと思います。
素晴らしかったです。
そしてありちゃん自身の力、経験、努力はもちろんのこと。ありちゃんが見てきた様々な先輩の姿が今のありちゃんを形づくっていることを感じました。
…それでも一幕ラストだったかな。球技場に向かうぞのシーンで、台詞の前に大きくふーっと息を吐いた瞬間があって。
あぁやっぱり必死に演じているんだな、と思わずにはいられませんでした。
本当にお疲れ様です。感動の熱演でした。