※観劇記事は普段からネタバレありで書いていますが、今回もがっつりラストのネタバレありますので、ご注意ください。
カロリーネ(音彩唯)
観劇後の余韻が一番ぞくっとしたのは、この人物かもしれない。
冒頭の少女時代(結婚前)は、狩りが好きでパンツスタイルではしゃぐお転婆な女の子。
貴族なので政略結婚が当然。自分自身に考える権利も選択する余地も何もない。
そして結婚した相手が大ハズレ(あがちんは悪くないけど、そういう役なので。)だし、婚家は伝統と規律にがんじがらめ。
…そうした流れで、自分の考えと合う人(ストルーエンセさん)に惹かれちゃうのは、まぁそうだよねぇ…と。
(まぁ「ストルーエンセ先生!マンセー!」感は強いけど。)
何がぞくっとするって、中盤の台詞と、結末のリンク。
不幸な結果の末に不貞行為を犯し幽閉された叔母について「彼女も当初は王妃としての理想があったはず」(意訳)と言いながら。
理想を抱えながらも、結果として歩みたくないと思っていた人生になってしまう。
…ううぅ、怖い。怖いよぉ。。。。
「間違った選択」はしたかもしれないけれど、「間違った考え」は持っていなかったと思われるカロリーネの末路には、何とも悲しいものがありました。
凛としたはばまいちゃんの佇まいが、カロリーネの悲しさを際立たせていました。
クリスチャン(縣千)
悲しいといえばクリスチャンも。
見ていて悲しいというか、苦しかったなぁ。
あんなに、誰よりも派手でイケイケな衣装を着ているのに!誰よりも寂しげに感じるという…。
(そして、あの衣装・髪型に負けてないあがちん、凄いと思う。)
厳しい教育を受ける幼少期のうつろな眼も。
満たされない気持ちから横暴に振る舞う姿も。
それは悲しいんだけど。
むしろ、ストルーエンセやカロリーネと仲良くしている時のほうに、クリスチャンという存在のもの悲しさを感じるのは何故なんだろう。
…ストルーエンセやカロリーネとは、どこか違うものがあって、だから道を違える結末になってしまうのかな。
インパクトのある見た目に騙され(?)そうになりますが、クリスチャン、繊細で複雑な役ですよね。
あがちんのクリスチャン、とても良かったです。
この作品のさりげない通し役として、召使いの女(白綺華ちゃん)と男爵(苑利香輝くん)がいますが、立場、心情、関係性を変化させつつ悲しい結末を迎える主人公たちと対照的に、変わらない幸せの象徴なのかな。
台詞もなく分かりやすくスポットが当たる役でもないですが、印象に残り意味ありげに見えるのが、凄いなと思いました。