お正月に見てきた花組うたかたの恋の感想です。

 

 

元日の初日ということで、晴々とした緊張感が漂っていました。

 

さて柴田先生の名作、うたかたの恋。

小柳先生による新演出です。

どう変わるかと思いつつ観劇に臨みましたが、良かったと思うところとうーんと思うこととが入り混じり、正直感想が難しいです。

 

良かったこととしては、ルドルフとマリーの2人が心中に向かう心情、流れが分かりやすかったです。

 

まずルドルフ。皇太子という立場ながら(だから)、窮屈で生きづらく感じており、息苦しく暮らしていることが伝わってきました。

愛のない政略結婚。

愛する人と幸せに過ごす友人を羨ましく思いつつも同じようにできない。

そんな自身を取り巻く社会情勢は第一次世界大戦前夜という薄暗い時代。

自由主義思想の広まりと不透明なハプスブルク家の今後。

王室を変えたいけれど無力な自分。

息苦しくて辛くて何かをしたいけれど何もできなくて、そんな中で純粋に愛し愛される相手を求め、破滅に向かっていくという心情がストンときました。

 

そしてマリー。純粋無垢で恋に恋する少女が憧れの人に見染められて舞い上がっているというのも、憧れが恋愛に変わり「この人とともにどこまで付いていきたい」と一直線に向かってしまっていくところも伝わってきました。

 

ということで「妻のいる一国の皇太子が、未来ある若い娘を道連れに何故自殺なんて…」という、現代の感覚では受け入れにくい事柄を、物語として違和感なく観ることができました。

 

「君を清らかなままで…」の台詞をいう場面が変わった(加わった)のも良かったですね。色々うまくいかず自暴自棄になったところからの、マリーと久しぶりに会えての台詞。ということで、以前は恥ずかしく感じた台詞も「結ばれて良かったね」という気持ちで見られました。

 

一方でうーんと思ったのは…舞台機構が使われ無さ過ぎなんですよ…。

場面転換が、幕、暗転、幕、暗転、幕…の繰り返し。

幕前芝居をしている後ろでセット移動の音が聞こえる場面の連続に、全ツを見ているような感覚に何度も陥ってしまいました(盆もセリも数回しか稼働していなかったのでは)。

後半の舞踏会の場面の前に、セットがセリ下がり皆が歌いながら盆が回って転換する場面が出てきたときに「やっときたぁ!これこれこれ!!」とようやくワクワクしたのですが、その後もまた暗転、幕、暗転…。

 

前回の全ツもそうですが、偉大なる柴田先生の作品に挑むと、皆さん伝統を踏襲しようと思い過ぎてしまうのでしょうか…。せっかくの大劇場なのに勿体ないなぁ…と感じてしまいました。

 

 

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