ちまたの評判は、安っぽいとか松潤の演技がイマイチだとか散々ですが笑

やっぱり面白かったです!

 

今回は、松潤=元康(家康)の前半のハイライトでしたね。

幼少期から織田家に人質に行ったり、今川家に取り戻されたり、松平家の嫡男として運命に翻弄されてきた元康。

とうとう、自分の意志で「織田側につく」決断をします。

 

その過程も、徹底的に悩みまくる松潤が描かれます。

織田軍は、強い。

織田信長には、只者ではないカリスマ性はもちろん、桶狭間の戦いを制した時の運もある。

しかし、頼りの今川家からは、一向に援軍は来ない。

 

三河の農民や家臣たちは、今川家が俺たちに何してくれたよ?と、心が離れている。

しかし松潤には、今川家に残してきた妻子がいます。

有村架純ちゃん演じる瀬名姫です。

溝畑順平さん演じる氏真も、「ここに妻子がいることを忘れるな」と、松潤に念押してきます。

裏切ったら、妻子がどうなってもいいんだな?という脅し。

こうやって戦国武将たちは、家族を同盟国領主の人質に出して、信頼関係を作っていた訳です。

 

そして松潤は、松嶋菜々子さん演じる実母から、今川家を離れて織田家につけと説得された上、こう一括されます。

「松平家の当主なら、所領と家臣を守る為、おのれの妻子など打ち捨てなされませ!」

自分の家族<<<所領と家臣、この価値観が武家の当主のあるべき姿と、母は松潤に厳しく突きつけます。

ここの松嶋菜々子さん、迫力あって良かったですね~。

現代と真逆の価値観を背景にした難しいセリフですが、当時の武家の考え方がよく分かりました。

 

しかし松潤は、瀬名姫とはかなり現代的な夫婦の絆を築いている人物として描かれているので、実母の言葉を素直に聞けず、「出て行かれよ!」と、母を退けてしまいます。

 

とどめは家臣たちの陳情ですね。

大森南朋さん、松重豊さんが、お手打ちになるのを覚悟の上で、「織田側に着いて下さい」と松潤に懇願します。

今川家の為に戦う気のある民衆は、もはや三河にいないと、容赦ない現実を突きつける家臣たち。

松平家の跡取りである松潤が当主となり、織田側につき、三河の民を守ってほしい、それしか生き残る道が無い。

「いやじゃ~!!俺は駿府に妻子がいるんだ!!勝手な事を言うな!手打ちにしてくれる!」と、家臣たちに刀を振りかざす松潤。

しかし、「自分は切られてもいい。でも三河を守ってくれ」と陳情してくる家臣たちを、松潤=元康が切れる訳がありません。

 

…かくして松潤は、愛しい妻子を犠牲にし、今川氏と決別して、織田側に着くのでした。

今川家へ謀反の戦火を起こす自軍を見て、涙を流す松潤。

 

確かに軽い笑。

軽いけれども、脚本家は、徐々に当主の自覚に目覚めていく松潤=元康を描こうとしているが、とてもよく分かります。

 

戦が嫌いで臆病な元康ですが、先が読めるから臆病なんですよね。

今のままなら、強い信長に食われることも分かってしまう。

臆病だからこそ、人を見る目も確かで、尊敬していた今川義元ほど息子の氏真が頼りにならんことも、とっくに気づいてしまっている。

 

ここのところ、脚本では、夢の中で「おやかた様が生きていれば、今川家の下でも生き残れると信じられたのに」という松潤の本音を見せてましたね。

セリフで語らせずに「こんな夢を見た」というシーンで見せていて、古沢良太さんはストイックだなと。

 

「オレごときが忖度して、剣の勝負に負けてやってたような氏真。

あいつが当主では、残念ながら信長に勝てる訳がない。

おやかた様が信長に討ち取られた時点で、潮目が変わっていた。

オレは妻子と別れたくなくて、気づかないふりをしていたんだ」

…みたいに、松潤にセリフで語らせても良かったような気がします。

でも、そんな身も蓋もない本音を言わないのが、松潤=元康の品の良さであり、人間性ですかね。

そういう松潤に描きたいんですよね、古沢良太さんは。

 

来週は、清州会議です。

とうとう信長と対面し、同盟を誓う、歴史のハイライト。

 

今の松潤は、所領と家臣を守るため、イヤイヤながら仕方なく信長に下る…というテンションですよね。

しかも、愛しい家族を犠牲にして。

瀬名姫と松潤の夫婦の絆を丁寧に描いてましたから、確実に松潤=元康のトラウマになるはず。

どうやってこの葛藤を乗り越えるのか?

信長に心からの恭順を誓うのか、はたまた、信長以後の世界を見据えて「恭順したふり」をするのか?

どちらの展開でも、松潤の内面には、何らかのドラマが必要なはず。

 

つまり、来週も、面白くない訳がないと思います!