やっと観ました~、スラムダンクの映画化「THE FIRST SLAM DUNK」。
巷で大絶賛され、興行的にも公開6週連続1位の大ヒットですね。
1990年~1996年の少年ジャンプ連載が大ヒット→アニメやゲームも大ヒットという、90年代に誕生したお化けコンテンツ。
キャラクターに90年代ぽさが溢れていて、友情・努力・勝利を描きつつも、当時めちゃくちゃ新鮮でしたね。
コミックス累計1億部突破記念イベント「スラムダンクーあれから10日後」、DVD買ったの覚えてます。
そして本作、満を持して、作者の井上雄彦さんが、脚本・監督を自ら務めてリリースされました。
井上雄彦さんご本人が映画化に踏み切った理由を、
「映画化を説得するスタッフさんが、パイロット版を作ってきて。最後のシーンに桜木花道が振り返って一言発するシーン(”天才ですから”だったかな?)を見て、あれって思った。これは自分がやらなきゃと思った」
というようなことを仰っているインタビューを読みました。
スラムダンク世代のスタッフさんたちの熱意が、井上先生を動かしたように受け取りました。…めちゃくちゃ熱くて、良いなって思いました!
井上先生は、映画の基本コンセプトを
「誇張した表現をバスケのプレイとかでもあまり使いたくない、ナチュラルな感じにしたくて。」
と仰っています。
その通りに仕上がっているんですけど、そのナチュラルさが半端なくて、逆に「こんなの初めて観た。実写でも観たことない」という恐るべき映画になっています。
アニメーションらしいカクカクした動きが一切なく、それはモーションキャプチャーや3DCGを使ったハリウッド映画でも観たことはあるんですけど、井上先生の画力とか構図とかが素晴らしいと言うこともあり、それ以上の驚きと新鮮さを感じました。
井上先生の頭の中には、こうやって人物が動いていて、その瞬間を切り取って漫画にしていたんだな、と。
だから、映画を観ていて、「あっこの構図、漫画で見た」というシーンが幾つも出てくるんですけど、それがものすごく自然なんですよ。
まるで自分が体験してきたことを、走馬灯で思い出しているような。
原作が漫画だったことを忘れて、「あの頃夢中で見ていた青春の1シーンを追体験」みたいな気にさせる。
そんな漫画を描いていた事が驚きだし、そんな漫画を四半世紀後に映画化している井上先生にも驚き。
思ったんですけど、日本の映像コンテンツが生き残る、一つの最適解がこれかなあ、と。
アニメーション単体では表現できない滑らかでナチュラルな動きに、漫画という誇張表現・省略表現をかけ合わせると、ものすごく新鮮な世界になるんだと感じました。
優れた漫画家さんて、コマの流れる間とか、誇張表現・省略表現が、抜群に上手いですよね。
リアルな時間の流れとナチュラルな動きに、「絵」として特別なハイライトが加わっているかのような画面でした。
仮想現実ってこんな世界なのかな?と。
こういう世界観の中で、自分もバスケットプレイヤーとしての時間を体験できるゲームが出来たら、めちゃくちゃやってみたい笑。
動きと時間の流れがあまりにもナチュラルで、映画の終盤、キャラクターの首から下が実写で顔だけ特殊メイクしてるような錯覚に陥りました笑。それくらい自然でした。
お話の方は、スラムダンクの鉄板「友情・努力・勝利(=成長)」が、分かりやすく描かれていました。
特に感動したのが、主人公リョータの、とても人間らしい「努力」の描写。
不良の三井たちに絡まれて、強がりながら震える手をそっとポケットに隠すところ。
ラスト、米国留学して、練習試合の前にトイレで吐きそうになっているところ。
それでも、相手の前では、ふてぶてしい顔で立っている。
お兄ちゃんに、ワンオンワンをやりながら、どんなに怖くても焦ってもそれを表に見せるな、って教えてもらったから。
ジャンプの主人公たちに感情移入してきた日本の少年少女たちを、めちゃくちゃ勇気づけるシーンでした。
「努力」ってこういうことなんですよね。
くじけそうな自分を、一人で必死に奮い立たせている時。
ナチュラルかつリアルな努力の描写が、とても印象的でした。
そして「友情」も「勝利(成長)」も、やっぱりリアルだしナチュラルなんですよね。
ここは漫画の世界観に忠実だったと思います。
湘北メンバー5人はもちろん、漫画では相手校の山王高校のメンツの描き方が素晴らしくて。
私はキャプテンの深津くんがお気に入りでした。全然動じない男。その動じない感じが、語尾に「ぴょん」をつける不思議ちゃんっていう特徴と相まって、めちゃくちゃリアルでした。
でも映画では、尺の関係だと思うけど、深津くんエピソードはほぼ無かった笑。
沢北くんの最強なのにムラのあるところ、河田兄の兄貴感、河田弟のまだ幼い感じ、一ノ倉くんの忍耐強さ…
映画からハマった方は、ぜひ漫画読んでほしい!
山王メンバーが大好きになるはず笑
日本のコンテンツはオワコンだ~とか心無い言葉を耳にすることもあるけど、オワコンどころか、、、、、
本作はひさびさに度肝抜かれました。
井上先生に続いて、頭の中の独自の世界観を映像化してくれる漫画家さんの作品を、心から待っています。