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↑つくづく便利な世の中です。

 

 

青崎有吾さんのミステリは、ラノベっぽさと本格具合が絶妙にハイブリッドされてて、人気があるのも納得です。

 

 

まだ映像化されてない様ですが、早い者勝ちなんじゃないかしら。

ドラマ関係者のみなさま。

 

 

浦安近辺の郊外都市を舞台にした、高校生が主人公の短編集なんですけれども。

いわゆる日常の謎をテーマにしていて、鮮やかな謎解きが楽しめました!

 

 

本作には、全話、ワンシチュエーション、リアルタイム進行というカセが施されています。

登場人物達の現在進行形の会話を主体に、謎解きが進行して行く。

うん、この辺り、実にテレビドラマ向き笑笑

その仕掛けに途中まで気づかせないほど、青崎さんの筆使いがお上手で、飽きさせない。

素人の駄文になりがちな設定を、プロの技巧でサラッと読ませてくれます。

 

 

特に上手いなーと思ったのは、以下2編。

 

三人の女子高生が、ファミレスでドリンクバーしながら、学園祭のクラスTシャツのデザインを決めるうちに、思わぬ事実が明らかになる「メロンソーダ ファクトリー」。

 

二人の男子高校生が、浦安のネズミがいない方の遊園地で観覧車に乗りながら、恋バナをする「夢の国には観覧車がない」。

 

メロンソーダやネズミのいない遊園地を、なぜその人は選んだのか?という所に謎があって、本格ミステリが成立しています。…ネタばれスレスレごめんなさい。

 

 

最後の「エピローグ」で、全話の登場人物のその後がさり気なく交差します。

みんな、謎解きの後、ちょっとずつ幸せになっている。

会話を通じて「謎解き」をするくらい、近くの人と向かいあい、真剣なコミュニケーションをやったから、という結果でもあり。

そこが爽やか。

 

…青春ものとミステリの相性の良さって、ここですよね。

アオハル万歳。