この部屋で君と (新潮文庫)/新潮社

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新潮文庫の、ひとつ屋根の下をお題にしたアンソロジーです。



作家陣は、

朝井リョウさん、

徳永圭さん、

越谷オサムさん、

飛鳥井千砂さん、

坂木司さん、

吉川トリコさん、

似鳥鶏さん、

三上延さん。



読者好きにはちょっとなかなか、魅力的な布陣ですよね。さすが新潮文庫。





早速読んでみました。





まず思ったのは、やっぱり朝井リョウさんの陰険なネチネチさ加減は、群を抜いている (褒めてます) 。



主人公が大学生の女子で、都会で一緒に住んでたお姉さんが、婚約者と住むため、出て行くことになっている。

代わりにルームシェア出来る友達を探すんだけど、彼女は昔から、「仲の良い女友達」を作れないでいる。二番手、三番手の友達にはなれるんだけど、誰かにとっての一番の友達になれない。

やっと見つけた候補友達を家に招くと、彼女は、別の友達とルームシェアしようとマンションを見に行ったことを、楽しそうに話し出す…



主人公の彼女は、留学経験があり、意識が高く、プライドも高い。お姉ちゃんは人懐こいタイプで友達とも肉親とも仲良くなれるけど、彼女は他人とそこまで仲良くなった経験がない。だから自分に自信がない。彼氏でも友達でも、自分よりバカだと思える人としか、自分は一緒にいられないと思い込んでいる。



タイトルはズバリ、

「それでは二人組を作ってください」。



彼女は体育の時間なんかのそういうとき、いつもアブれてしまうことを恐れて、自ら先生と二人組を作ろうとする子だった。切ないけどイタい…





しかし、こんな切り口のお話、よく考えるなあ。朝井さんホント繊細な陰険ヤロウですね (褒めてます)。





意外に面白かったのは、坂木司さんの、

「女子的生活」。



テレビドラマにしたら、最初から分かってしまう系の、小説ならではのよくあるトリックが使われてますが、退屈しなかったです。



主人公とルームシェアする友達のキャラと設定が上手くて、オチを新鮮にしてました。

しっかり工夫してある作品だと思います。

坂木司さん、力のある作家さんですね。

これから大化けするかもしれませんね。





それと最後の、三上延さんの「冷やし中華にマヨネーズ」が良い作品でした。



ありがちな腐れ縁カップルの、同棲解消までのお話なんですけど。

お付き合いして、一緒にいる時間は終わるけれども、そのとき一緒になんとなく決めたルールとか、生活習慣は残っていく。

結婚に至らない男女に残るものって、それくらい。

バカバカしいし、些細なものだけど、誰かと一緒にいた記憶を積み重ねることが、結局ヒトが毎日生きる動機なのかも…という価値観に共感しました。意外に深いお話でした。





他の作品も粒ぞろいで、全体的にクオリティ高いアンソロジーで、思いのほか満足でした。

(^_^)