豆の上で眠る/新潮社

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湊かなえさんの2014年3月刊行、週刊新潮連載だったミステリです。



ざっくり言うと、13年前、小学三年生だった姉が、妹達と遊んでいた帰り、一人で帰宅中、忽然と行方不明になる。



その二年後。

近くの神社の境内で、記憶喪失の状態で発見された姉。

喜ぶ家族の中、妹は、違和感を感じる。

しかし、DNA鑑定の結果は、間違いなく両親と一致。

妹は、姉の存在を疑ったまま、大学生になる。





今回のかなえ節は、ちょっと調子悪かったかな。



これ、妹の一人称で書かれてるんですけれども、出来の良い姉に対するコンプレックスの話なのか、日常の謎の話なのか、はたまた両方なのか、判然としない。



端的に言うと、どちらも中途半端なままラストに雪崩れ込んでいて。

〆の妹のセリフが、

「本ものってなんですか」

という、湊さんらしからぬ野暮ったさ。



お話のモチーフを、アンデルセンの「エンドウ豆の上で眠ったお姫さま」に持ってきて、普通気がつかないような小さな違和感が妹の側で増殖していくさまを描こうとしているのは、湊さんらしい斬新さと思うんだけど。



しかし、二年後に戻ってきた姉が、生まれた当時、病院で取り違えられて別の家庭で育てられてた本当の姉だったというオチはちょっと無理あるかと…しかも、両親以外の家族・親戚には、その事実が伏せられ、失踪前の姉と同一人物であるという前提で無理矢理暮らして行くと言う。



なぜ両親が取り違えの事実を隠すのかも説得力が薄いし、そもそも血の繋がりが全くない赤の他人同士を、いくら二年間失踪してたとはいえ、同一人物とするのは、「豆の上で眠る」どころの違和感じゃないのでは。「豆だらけの上で眠る」よーなもん。ツッコミどころ満載。



根幹のところの設定が、乱暴過ぎた気がします。





なもんで、途中で退屈しちゃった…





湊さんの小説のリーダビリティは、舞台設定の細部の作り込みや、人間の心理描写のリアルさが牽引してたんだなぁと改めて認識。



そこが雑だと、お話の運びがモタモタし、野暮ったくなっちゃうんだな、と。



湊さんのリーダビリティの原動力が、逆説的に分かった小説でした。