模倣犯1 (新潮文庫)/新潮社

¥853
Amazon.co.jp
いまさら~?!って感じでしたが、文庫で5冊一気読みでした。
お、面白い・・・・
これ2001年初版なんですが、今読んでも十分面白いわ。宮部さんすごい。
読もうと思ったきっかけが、宮部さんがインタビューで、「模倣犯」を書いた後、主人公の毒にあてられて、しばらく現代舞台のサスペンスが書けなくなった・・・とコメントしていたのを読んだから。
宮部みゆきさんというビッグな作者自らが、そこまで思い入れをもった主人公ってどんなん?と。
もう10年以上前の小説で、SMAPの中居くん主演で映画化もされてますし、ネタばれても良いよね。つーことで。
主人公の連続殺人犯、「ピース」は、「自分の影響力を世間にしらしめたくて仕方がない」、肥大した自己顕示欲が誤った方向に発露してしまった、「知能犯」として描かれます。
殺人はピースの作った「物語」で、殺害した女性たちは「女優」。
ピースは脚本家であり演出家であり、プロデューサーであり、この一連の事件を事業に例えるなら、「事業主体者」な訳です。
だからたくさん人を殺し、加害者「ヒロミ」も「和明」も演出し、被害者の肉親は格好の「脇役」。
その「創作物」を、二番煎じだ、過去の古い小説の模倣だと煽られると、簡単に仮面をとってしまう。(あっさりネタばれ)
この「ピース」という主人公、すでに10年以上過去のキャラクターですが、映画で中居くんが演じていたということは、ほぼ私と同年代の設定な訳で、当時アラサー、今アラフォーな、団塊ジュニア世代という設定。
この世代特有の自意識の高さ、バブル世代の目立ちたがりともちょっと違う、
「皆に埋もれたくない、自分はスペシャルだと思いたい」
「優秀で、クールなヤツ(死語)だと思われたい」
という焦燥感、それが物凄くよく描かれている小説だと思う。
なもんで、宮部さんは、ピースという主人公を、本当にイヤな奴で、あんな悪魔的なキャラクターを創造してしまったことに自己嫌悪すら抱いてしまった・・・的なことを仰ってましたが、それでもこのピースという主人公には、読者は共感せずにはいられないのでは?
てゆうか、ワタクシはピースに共感してしまいましたわ。
確かにこんな事件あるかいな?とも思うんですけれども、ピースみたいなキャラクターのヒトはいる。
自分にも、その片鱗があるとすら思う。
その片鱗とは?
自分が全てお膳立てして、自分がでっかいこと(死語ですが)をやったんだ、という、プロデューサー的な自己顕示欲でしょうか・・・・。
ちっさい所で終わりたくない、世間を平伏させたい、皆に凄いと言われたい。
それが殺人に結び付く?
殺人の始まりは、友人の些細な痴話げんか、って所もリアルなんですよ。
下手を踏みたくない、でもプライドが何より大事、自分を守る為に、全てを誤魔化しても罪の意識は薄い。
幼い自意識という以外、何者でもないんだけど。
その根幹を、「特別な自分でないと、保護者の注目を集められない」というピースの出自に設定したのは宮部さんの慧眼。
団塊ジュニアって、人数も多いし、世代論でくくるのは浅薄ですけど、常に競争してきた世代なんですよね。
親の愛情も、「良い大学、良い会社に入って安定する」って所に、凝り固まっていた最後の世代かも。
今の親子関係は、ゆとり教育とか少子化があって、ちょっと違っているような感じがあります。
だからピースのように、「価値のある人間でないと世間に認めて貰えない」という焦燥感が、他の世代よりこの世代は、強い気がする。
「模倣犯」は、その殺人のトリックとか、主犯と実働犯の関係性とか、被害者家族の有様とか、伏線の張り巡らし方とか、そういうサスペンスとしての各要素の読み応えも、もちろん凄いんだけれども。
何より際立っているのは、この「ピース」という主人公のキャラクターだと思いました。
そして分厚い文庫本5冊を一気読みさせる宮部さんのリーダビリティ。
いや~こりゃ確かに現代ミステリの金字塔ですよ。
ワタクシ的には、「ヒロミ」と「和明」の関係性に、「ピース」が黒幕で絡んでいて、「和明」が「ヒロミ」を連れ戻そうとするけれど、偶然の事故で亡くなってしまう一連の下りが(これまた壮大にねたバレ)が、ホントに読み応えあって面白かった。
人間のもっている奢りと暴力性、自己保身と自己顕示欲が結びついたときのグロテスクさ、でも最初は単なる少年だった・・・という。
この犯罪を作り上げたピースの根幹に、「寂しさ」があったことを思うと、世代論ではくくれないけれども、やはり宮部さんのキャラクター作りには、そういう同時代性を捉えてくる鋭い慧眼があるなあと改めて思った次第です。

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いまさら~?!って感じでしたが、文庫で5冊一気読みでした。
お、面白い・・・・

これ2001年初版なんですが、今読んでも十分面白いわ。宮部さんすごい。
読もうと思ったきっかけが、宮部さんがインタビューで、「模倣犯」を書いた後、主人公の毒にあてられて、しばらく現代舞台のサスペンスが書けなくなった・・・とコメントしていたのを読んだから。
宮部みゆきさんというビッグな作者自らが、そこまで思い入れをもった主人公ってどんなん?と。
もう10年以上前の小説で、SMAPの中居くん主演で映画化もされてますし、ネタばれても良いよね。つーことで。
主人公の連続殺人犯、「ピース」は、「自分の影響力を世間にしらしめたくて仕方がない」、肥大した自己顕示欲が誤った方向に発露してしまった、「知能犯」として描かれます。
殺人はピースの作った「物語」で、殺害した女性たちは「女優」。
ピースは脚本家であり演出家であり、プロデューサーであり、この一連の事件を事業に例えるなら、「事業主体者」な訳です。
だからたくさん人を殺し、加害者「ヒロミ」も「和明」も演出し、被害者の肉親は格好の「脇役」。
その「創作物」を、二番煎じだ、過去の古い小説の模倣だと煽られると、簡単に仮面をとってしまう。(あっさりネタばれ)
この「ピース」という主人公、すでに10年以上過去のキャラクターですが、映画で中居くんが演じていたということは、ほぼ私と同年代の設定な訳で、当時アラサー、今アラフォーな、団塊ジュニア世代という設定。
この世代特有の自意識の高さ、バブル世代の目立ちたがりともちょっと違う、
「皆に埋もれたくない、自分はスペシャルだと思いたい」
「優秀で、クールなヤツ(死語)だと思われたい」
という焦燥感、それが物凄くよく描かれている小説だと思う。
なもんで、宮部さんは、ピースという主人公を、本当にイヤな奴で、あんな悪魔的なキャラクターを創造してしまったことに自己嫌悪すら抱いてしまった・・・的なことを仰ってましたが、それでもこのピースという主人公には、読者は共感せずにはいられないのでは?
てゆうか、ワタクシはピースに共感してしまいましたわ。
確かにこんな事件あるかいな?とも思うんですけれども、ピースみたいなキャラクターのヒトはいる。
自分にも、その片鱗があるとすら思う。
その片鱗とは?
自分が全てお膳立てして、自分がでっかいこと(死語ですが)をやったんだ、という、プロデューサー的な自己顕示欲でしょうか・・・・。
ちっさい所で終わりたくない、世間を平伏させたい、皆に凄いと言われたい。
それが殺人に結び付く?
殺人の始まりは、友人の些細な痴話げんか、って所もリアルなんですよ。
下手を踏みたくない、でもプライドが何より大事、自分を守る為に、全てを誤魔化しても罪の意識は薄い。
幼い自意識という以外、何者でもないんだけど。
その根幹を、「特別な自分でないと、保護者の注目を集められない」というピースの出自に設定したのは宮部さんの慧眼。
団塊ジュニアって、人数も多いし、世代論でくくるのは浅薄ですけど、常に競争してきた世代なんですよね。
親の愛情も、「良い大学、良い会社に入って安定する」って所に、凝り固まっていた最後の世代かも。
今の親子関係は、ゆとり教育とか少子化があって、ちょっと違っているような感じがあります。
だからピースのように、「価値のある人間でないと世間に認めて貰えない」という焦燥感が、他の世代よりこの世代は、強い気がする。
「模倣犯」は、その殺人のトリックとか、主犯と実働犯の関係性とか、被害者家族の有様とか、伏線の張り巡らし方とか、そういうサスペンスとしての各要素の読み応えも、もちろん凄いんだけれども。
何より際立っているのは、この「ピース」という主人公のキャラクターだと思いました。
そして分厚い文庫本5冊を一気読みさせる宮部さんのリーダビリティ。
いや~こりゃ確かに現代ミステリの金字塔ですよ。
ワタクシ的には、「ヒロミ」と「和明」の関係性に、「ピース」が黒幕で絡んでいて、「和明」が「ヒロミ」を連れ戻そうとするけれど、偶然の事故で亡くなってしまう一連の下りが(これまた壮大にねたバレ)が、ホントに読み応えあって面白かった。
人間のもっている奢りと暴力性、自己保身と自己顕示欲が結びついたときのグロテスクさ、でも最初は単なる少年だった・・・という。
この犯罪を作り上げたピースの根幹に、「寂しさ」があったことを思うと、世代論ではくくれないけれども、やはり宮部さんのキャラクター作りには、そういう同時代性を捉えてくる鋭い慧眼があるなあと改めて思った次第です。
